一部窓口で日曜開庁を行う便利な市役所

子育てや若い世代の支援をスピーディーに進める埼玉県行田市/行田市役所子ども未来課

「大宮」駅からJR高崎線を利用して約30分。埼玉県名発祥の地として知られる「埼玉古墳群」がある行田市は、豊かな自然と歴史に彩られた街として知られています。市内中心部には関東七名城のひとつに数えられる「忍城」があるほか、江戸時代から続く足袋蔵や太古の昔に起源を持つ古代蓮など、歴史を感じるスポットが数多くあります。またギネス世界記録にも認定された世界最大の「田んぼアート」も広く知られ、自然の豊かさを身近に感じることができます。

今回は「行田市役所」を訪ね、注目を集めている子育て支援の取り組みや行田市の魅力についてお話を伺いました。

行田市の行田邦子市長と子どもたち
行田市の行田邦子市長と子どもたち

豊かな自然と歴史に彩られた人口約76,000人の行田市

――まずは行田市の概要について教えてください。

馬橋さん:行田市は埼玉県北東部に位置しており、東京都心から約60kmの距離にあります。JR高崎線「行田」駅から「大宮」駅まで約30分、都心へも1時間ほどでアクセスできる環境です。人口は2025(令和7)年1月1日時点で約76,000人となっております。

「行田」駅
「行田」駅

馬橋さん:市の北側を流れる利根川と南側の荒川に挟まれた、肥沃で高低差がほとんどない地形を活かして、米や麦などの生産も盛んに行われています。

また本市は豊かな歴史に彩られた魅力をもつ街としても知られます。市内には国の特別史跡にも指定されている「埼玉(さきたま)古墳群」や、戦国時代には浮き城として名を轟かせた「忍城」を有するほか、江戸時代には忍藩十万石の拠点として幕府を支え、その頃から始まった足袋づくりはその後「日本一の足袋のまち」として全国に名を馳せるようになりました。

足袋蔵のまちとして日本遺産にも登録されている
足袋蔵のまちとして日本遺産にも登録されている

――行田市では子育て支援にも力を入れて取り組んでいるそうですが、その詳細を教えてください。

馬橋さん:行田市は、こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同して、2023(令和5)年に「こどもまんなか応援サポーター」に就任しました。「子どもたちのために何がもっとも良いことかを常に考え、子どもたちが健やかで幸せに成長できる社会を実現する」という宣言の内容に基づき、「3歳未満児保育料無償化」や「こども誰でも通園制度」などを中心にさまざまな子育て施策を展開しています。

2023(令和5)年には「こどもまんなか応援サポーター」に就任
2023(令和5)年には「こどもまんなか応援サポーター」に就任

国に先駆けて、3歳未満児の保育料を無料化した行田市

――2024(令和6)年4月から開始された「3歳未満児保育料無償化」について、詳細や開始されたきっかけ、市民の方からの声などを教えてください。

馬橋さん:2019(令和元)年10月から、子ども・子育て支援法にもとづき幼児教育・保育の無償化が開始されました。基本的には3~5歳児および住民税非課税世帯の0~2歳児が無償化の対象となりますが、行田市では国に先駆けて、2024(令和6)年4月から「所得制限の無い3歳未満児保育料無償化」を実施しています。

全国各地で人口減少が課題となるなか、若い世代の減少や、出生率の低下、それに伴い街の活気も無くなっていくことに歯止めをかける施策として、子育て支援や若い世代に対して力を入れていこうということで、スピーディーに取り組みを始めているところです。

無償化の開始後、私たちのもとにも、「3歳未満児の保育料を無償にしてくれてうれしい」「今まで有料だったのが無償化になることによって新たに保育園に預けてみたい」「保護者の負担軽減につながっている」などの声が届いています。

「こども誰でも通園制度」の様子
「こども誰でも通園制度」の様子

行田市公式LINEで登録申請、予約ができる「こども誰でも通園制度」

――続いて「こども誰でも通園制度」について教えてください。

馬橋さん:「こども誰でも通園制度」は国の試行的事業で、本格実施に向けて今年度から取り組みを始めました。保護者の就労要件を問わず、月10時間まで時間単位で保育所などを利用できる制度です。

対象となるのは保育所等に入園していない0歳6か月から2歳までのお子さんで、登録申請は行田市公式LINEから行えます。現在受け入れを行っているのは5園で、1日の間で2、3時間と続けて制度を利用することも可能です。

サービスを利用されている方からは、「同じような年齢のお子さんと関わることができるため、子どもの成長にもつながると思う」「子育ての不安や負担が一時的でも解消されるので利用して良かった」などのお言葉をいただき、対象となる世帯の約4割が利用されるなど、大変好評です。

行田市公式LINE内「こども誰でも通園制度」の登録画面
行田市公式LINE内「こども誰でも通園制度」の登録画面

 

妊娠、出産、子育てに関する切れ目のない相談・支援を行う「行田市こども家庭センター」

―― 「こども家庭センター(愛称:おしのこ)」について、愛称に込められた思いやお取り組み内容などを教えてください。

馬橋さん:「こども家庭センター」は「行田市役所」から車で5分ほどの「行田市保健センター」内に設置されています。これまで妊産婦や乳幼児の保護者への支援を行う「子育て包括支援センター」と生活困窮や虐待など困難を抱える家庭の支援を行う「子ども家庭総合支援」は別々の窓口として業務を行っていましたが、機能を一体化させ切れ目のない相談・支援を行うことを目的として新たに誕生しました。

「こども家庭センター」では妊娠、出産、子育てに関する様々な相談に応じています。離乳食教室やママパパ教室、産後ケア事業などさまざまな取り組みも行われています。また児童虐待の相談窓口にもなっており、相談内容によって保健師や助産師、家庭児童相談員など専門の職員が対応します。

なお、「おしのこ」の愛称は公募によるもので、「忍城や忍藩の忍(にん)の耐え忍ぶ志をもった強い人に成長してもらいたい」などの思いが込められています。またあえてひらがなにしたのは、こどもはもちろん、国籍を問わず市民の誰もが読めること、市民に親しまれるようにという思いからです。

「おしのこ」の愛称の由来のひとつ、行田市を代表する観光名所の忍城
「おしのこ」の愛称の由来のひとつ、行田市を代表する観光名所の忍城

子どもと参加できる「田んぼアート」や「行田浮き城まつり」、「行田こどもまつり」

――行田市内で子育て世代におすすめのイベントや地域のお祭りなどがあれば教えてください。

馬橋さん:行田市といえばギネス世界記録にも認定された世界最大の「田んぼアート」に毎年取り組んでいます。小さなお子さんのいる子育てファミリーにも多くご参加いただいておりまして、「田植え体験」をした参加者の方には収穫後にお米のプレゼントもあります。

能登の復興応援をテーマとした2024年の田んぼアート(行田市提供)
能登の復興応援をテーマとした2024年の田んぼアート(行田市提供)

馬橋さん:また、毎年7月の最終土・日曜日に行われる「市民祭・行田浮き城まつり」というお祭りがありまして、ステージイベントやフリーマーケットのほか、浮き城だんべ踊りのパレードを中心に、御神輿や山車も出て大いに盛り上がります。パレードには子どもだけで編成された団体なども参加しています。

ほかには青少年育成行田市民会議の主催で「行田こどもまつり」が10月に行われます。会場は水城公園の市民広場で、バルーンアートやスライムつくり、ボールプールなど、さまざまな催しが行われます。

水城公園
水城公園

馬橋さん:これはイベントでは無いのですが「子ども大学ぎょうだ」という市民大学の子ども版があり、年間を通してさまざまなカリキュラムが行われています。小学4年生~6年生を対象としていて、市内にある「ものつくり大学」の先生による講義や、企業による出前講座などが行われています。

多様なニーズに応える子育て支援が魅力の行田市

――行田市で子育てをする魅力についてお聞かせください。

馬橋さん:小さいお子さんのいるご家庭にとっては「3歳未満児保育料無償化」によって経済的な負担が少なく子育てができる点は魅力のひとつです。またお子さんが小さいうちは自宅でみたいというご家庭にとっては「こども誰でも通園制度」をはじめ、市指定文化財の旧忍町信用組合店舗を利用した「ヴェールカフェ」の利用券を配布するという子育て支援もあり、多様なニーズに応えられるような取り組みを行っているのは魅力かなと思います。

市の指定文化財に指定されている旧忍町信用組合店舗を利用した「ヴェールカフェ」の外観と内装
市の指定文化財に指定されている旧忍町信用組合店舗を利用した「ヴェールカフェ」の外観と内装

ヴェールカフェの利用券
ヴェールカフェの利用券

馬橋さん:あと行田市では英語教育にも力を入れていまして、英語指導助手いわゆるALTを小学校だけではなく今年度から幼稚園にも派遣して英語教育に取り組んでいます。

行田市内各地に子どもと一緒に遊べるスポットが充実

――子育てファミリーにおすすめのスポットを教えてください。

馬橋さん:市内各所に公園がいろいろとありまして、「行田市役所」近くにある「水城公園」をはじめ、「ヴェールカフェ」の横にある「じゃぶじゃぶ池」では夏になると水遊びができます。また「コミュニティセンターみずしろ」の3階にある「行田市児童センター」や「きっずプラザあおい」という子育て支援拠点も近くにあります。

市役所から車で10分ほど離れた「古代蓮の里」にローラーすべり台のある遊具があったり、釣り堀やバーベキューができるスペースもありますので、お子さまと一緒に楽しく過ごせると思います。

行田市児童センター
行田市児童センター

馬橋さん:個人的には「さきたま古墳公園」がおすすめです。市外の方にとっては古墳そのものが珍しいと思いますし、近くには埴輪づくりが体験できる「はにわの館」という施設や、「さきたまテラス」というカフェ併設のお土産店ができて、観光客の方からも人気を集めるようになりました。そこで2024年10月に初めて「行田古墳フェスティバル」というイベントを実施し、キッチンカーや古墳にゆかりのあるアーティスト、ゲストをお招きして約15,000人もの来場者が集まりました。

「さきたま古墳公園」の写真
「さきたま古墳公園」の写真

馬橋さん:ほかには忍城バスターミナル観光案内所において、忍城をロケーションにして甲冑着付体験ができるプランがあったり、忍者になって手裏剣投げが体験できるプランもあり、他ではなかなか体験できないと思います。市内にある呉服店では着物を着てまち歩きできるプランもあり、行田市の歴史や文化に触れながら楽しい時間を過ごせると思います。

豊かな自然と歴史に彩られた魅力をもつ行田市で子育てを

――最後に、行田市で子育てを考えている方に向けてメッセージをお願いします。

馬橋さん:行田市は豊かな自然と歴史に彩られた魅力をもつ街です。こういった環境で子育てをしていただくことによって、大きくなった時に誇りと言いますか、自分の住む街を大切に思うアイデンティティのひとつになるのかなと思います。

移住・定住を促進するパンフレットもあります
移住・定住を促進するパンフレットもあります

馬橋さん:以前は熊谷、鴻巣、羽生といった近隣の自治体から移り住む方がほとんどでしたが、コロナ禍以降、埼玉県の県南エリアや全国からも転入される方が増えています。行田市に移住して、カフェなどを始める方もいるようです。都内と比べると土地などの価格が安価であり、マイホームを持ちたい方にとってもおすすめです。

最近ですと埼玉を舞台にした映画で大阪の通天閣とならんで行田タワーが出たり、「田んぼアート」や日本遺産では埼玉県で唯一となる「足袋蔵」を求めて訪れる観光客も多く、さまざまな場面で行田市のことを知っていただいているのかなと思います。

足袋蔵
足袋蔵

馬橋さん:子ども未来課でも「3歳未満児保育料無償化」など他に先駆けて独自の取り組みを進めていきますので、ぜひ行田市にお越しいただいて子育てをしていただければと思っています。

子ども未来課 馬橋さん
子ども未来課 馬橋さん

行田市役所

子ども未来課 馬橋さん
所在地:埼玉県行田市本丸2-5
電話番号:048-556-1111
URL:https://www.city.gyoda.lg.jp/
※この情報は2025(令和7)年2月時点のものです。