ふじみ野市誕生20周年記念コラム:過去と現在、そして未来を紡ぐ「共創の物語」
2025(令和7)年10月、「ふじみ野市」は市政誕生20周年という、とても大切な日を迎える。特設サイトや様々な記念事業を見れば、まち全体がワクワクした熱気に包まれているのがわかるだろう。このお祝いの気持ちは、旧「上福岡市」と旧「大井町」が手を取り合い、新しい「ふじみ野」というまちを築き上げてきた20年間の、温かい歩みを物語っている。ここでは、この記念すべき節目に、ふじみ野市の歴史や、最近ますます便利で魅力的になったスポット、そして未来への楽しい計画をひも解きながら、市民みんなでつくりあげてきた「共創」の物語を辿ってみる。
二つのまちから一つの「ふじみ野」へ:市民が紡いだ合併の物語
「ふじみ野市」は、2005(平成17)年10月1日、旧「上福岡市」と旧「大井町」が一つになって生まれた。たった1年ほどで合併が決まったのは、きっと両方のまちが「みんなで力を合わせれば、もっと素敵なまちになる!」と信じていたからだろう。合併前の二つのまちは、昭和30年代に「東洋一」と呼ばれた大きな住宅団地が次々とでき、たくさんの人が暮らす成熟した住宅都市として発展を遂げていた。

新しいまちの名前を決めるときは、市民からの公募で決められた。集まったアイデアの中から「ふじみ野市」が選ばれたわけだが、これは、行政が一方的に決めるのではなく、最初から「市民みんなで、まちの未来をつくっていこう」という温かい気持ちが込められていた証拠だろう。この「市民とつくる」という大切な心は、20年経った今でも、ふじみ野市のまちづくりにしっかりと受け継がれている。

未来を育む市民の力:記念事業にみる「共創」の理念
20周年を祝うたくさんのイベントは、ただ行政が企画したものではない。まちを愛する市民が集まる「市民企画会議」が中心になって、みんなでアイデアを出し、盛り上げている。記念のキャッチフレーズやシンボルマークも、市民の手で選ばれたものだ。
その中でも特に注目なのは、2025(令和7)年10月5日に行われる「ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章『歓喜の歌』」のコンサートだろう。約120人もの市民が合唱団として参加し、ふじみ野市にゆかりのあるプロのソリストやオーケストラと一緒に、まちの誕生日を盛大に祝う。
このほかにも、未来を担う子どもたちの才能を育てる「クラシック音楽~未来あるこどもたちへ~」ピアニストオーディションが開かれるなど、単なるお祝いを超えて、次世代に文化のバトンを渡そうという熱い想いが伝わってくる。さらに、地元のお米を使った地酒づくりや、第九公演を応援するための「ふるさと納税」によるクラウドファンディングも行われており、市民だけでなく、ふじみ野市を大切に想うたくさんの人たちが、この催事に参加できる工夫がされている。
| 実施月 | 事業名 | 会場 |
|---|---|---|
| 5月 | エコラボフェスタ 歯の健康フェア |
ふじみ野市・三芳町環境センター フクトピア (市民交流プラザと保健センター) |
| 6月 | 元気・健康フェア | スポーツセンター総合体育館 |
| 7月 | 第25回おおい祭り オンラインスタンプラリー キャンパでつくろうやさしいまちのポスター 市民スポーツ大会 |
東久保中央公園及び周辺会場 市内各商店 ふじみ野市役所第3庁舎2階 市内各スポーツ施設等 |
| 8月 | 第71回上福岡七夕まつり | 福岡中央公園、上福岡駅東西商店会ほか |
| 9月 | 第36回西公民館まつり ふじみ野っ子まつり 男女共同参画意識啓発事業委託 ①映画会 「ドマーニ! 愛のことづて」 男女共同参画意識啓発事業委託 ②小島慶子講演会 「おっさん社会が生きづらい」 体育館de避難所宿泊体験会 ふじみ野市民アート・美術展 |
上福岡西公民館 市民交流プラザ ふじみ野市立上福岡西公民館ホール ふじみ野市立産業文化センター多目的ホール 上野台体育館 ステラ・イースト、ウェスト |
| 10月 | ふじみ野市誕生20周年記念公演 ~ベートーヴェン作曲 交響曲第9番 第4楽章「歓喜の歌」~ スポーツフェスタ 環境フェア ふじみ野市邦舞・洋舞連盟合同パフォーマンス ふじみんマンホールアドベンチャー ~記念デザインを探そう!~ |
ステラ・ウェスト スポーツセンター総合体育館 福岡中央公園 ステラ・イースト 市内各所 |
| 11月 | 地域共生社会記念講演会 | ステラ・イースト |
| 12月 | 文化施設連携事業 障害者週間推進事業「第30回ふれあい広場」 ふじみ野市ロードレース大会 ふじみ野郷土カルタ大会 |
ふじみ野ステラ・ウエスト 市民交流プラザ ふじみ野市第2運動公園周辺コース 市民交流プラザ多目的ホール |
| 1月 | アートフェスタふじみ野 ふじみ野アールブリュット展 ~ふじみ野アートの可能性~ |
ステラ・イースト ステラ・イースト、ウェスト |
| 2月 | 舞台芸術鑑賞会 よしもとふじみ野劇団人権公演会 ふじみ野未来展 〜ふじみ野アートの未来~ |
ステラ・ウェスト ステラ・ウェスト ステラ・ウェスト |
| 3月 | 青少年健全育成講演会 | ステラ・ウェスト |
※詳細な情報はふじみ野市HPをご覧ください。
東西に輝く文化の星:複合化で進化する公共施設
この20年で、「ふじみ野市」には暮らしがもっと豊かになる、素敵なスポットがたくさん誕生した。特に、2023(令和5)年11月4日にオープンした「ふじみ野ステラ・ウェスト」は、文化施設と「大井図書館」が一つになった新しい文化の拠点だ 。ホールでの催事がない時でも、広々としたロビーは誰もが自由に過ごせる憩いの場となり 、人々が自然と集まり、笑顔が生まれるような温かい工夫がされている。この「ふじみ野ステラ・ウェスト」の設計・施工には、地元に本社を置く近藤建設株式会社が、三井住友・近藤建設共同企業体の一員として参画している。

さらに、2025(令和7)年9月27日には、東部地域にある「ふじみ野ステラ・イーストホール棟」が新しく生まれ変わる。こちらも、近藤建設株式会社が三井住友・近藤・久米設計特定建設工事共同企業体の一員として整備事業に携わっており、地元の建設会社がまちの新たなランドマークづくりに貢献している。
これらの文化施設は、老朽化が進む施設の維持管理コスト増大という行政の財政課題に対応するため、公共施設の「複合化」や「多機能化」を推進するという市の「都市計画マスタープラン」の理念を具現化したものだ。複数の機能を統合することで、維持管理コストを圧縮しつつ、市民に多様なサービスを提供し、行政の効率性と市民の利便性を両立させているという、賢い行政経営戦略が読み取れる。こうした文化拠点の整備は、単なる「箱物」行政ではなく、「人と人とのつながりづくり」という市の長期的なビジョンを実現するための不可欠な基盤と位置づけられる。
活気を創出する「駅前」と産業の新たな拠点
市民の毎日の暮らしを支える「駅前」も、ぐんと便利に、そして賑やかになった。「上福岡」駅西口は、再開発が完了し、広々とした駅前広場やショッピングモール「ココネ上福岡」が整備され、お出かけが楽しくなるような街並みに生まれ変わった。この成功をきっかけに、今も「上福岡」駅東口では、駅舎と通りを結ぶ横断歩道橋が2021(令和3)年に完成するなど、新しい街づくりが着々と進んでいる。

また、駅の近くにある旧日本無線工場跡地に、2020(令和2)年11月、「イオンタウンふじみ野」がオープンした。この大きな商業施設は、地元の新鮮な野菜を扱う「地産地消」に力を入れるなど、ただのお買い物スポットではない。地域の人々が健康で豊かに暮らせるよう、まちを支える大切な存在となっている。
さらに、「国道254号バイパス」沿いには、2024(令和6)年に大型物流施設「ロジスクエアふじみ野」が完成し、新たな仕事の場も増えた。駅の周りは便利に、そして幹線道路沿いは働く場として、暮らしと仕事のバランスがとれた、素敵なまちへと進化している。
暮らしやすさを支える長期ビジョンとインフラ整備
「ふじみ野市」は、今だけでなく、ずっと先の未来まで見据えて、まちづくりを進めている。20年後の姿を描いた「都市計画マスタープラン」では、駅の周りをより便利にしながら、武蔵野の美しい緑も大切に守っていくという、暮らしやすさにこだわった計画が立てられている。
また、「ふじみ野市版スーパーシティ構想」という取り組みでは、デジタルとアナログの力を合わせ、災害に強く、安心できるまちを目指している。公共施設に太陽光パネルを設置したり、電気自動車を非常時の電源にしたり、大雨に備えて調整池を整備したりと、私たちを守るための頼もしい工夫が続々と実行されている。2025(令和7)年3月に新しくなった「東久保中央公園」 のように、公園はただ遊ぶ場所ではない。災害が発生した際には、火災の延焼を防いだり、避難者の安全を確保したりといった、私たちを守ってくれる大切な役割も果たしている。こうした一つひとつの取り組みは、古いものを大切にしながら、より良い未来のために投資していく、そんな温かさと賢さが詰まったまちの姿勢を示している。

こうした一つひとつの取り組みは、古いものを大切にしながら、より良い未来のために投資していく、そんな温かさと賢さが詰まったまちの姿勢を示している。
市民と歩み、次世代へつなぐ「ふじみ野の物語」
市政誕生から20年。「ふじみ野市」は、旧「上福岡市」と旧「大井町」の温かい歴史を受け継ぎ、住む人みんなで新しい物語をつくり続けている。20周年を祝うイベントのワクワク感、新しくできた魅力的なスポット、そして未来への確かな計画、そのすべてが「人がつながる 豊かで住み続けたいまち」という大切な想いに結びついている。この20年の歩みは、行政と市民が手を取り合えば、どんなに素敵なまちでもつくれることを教えてくれる。これからも、「ふじみ野市」は、住む人みんなの「やっぱり、このまちがいいな」と感じられるような、進化し続ける物語を描き続けていくことだろう。
ふじみ野市誕生20周年記念コラム:過去と現在、そして未来を紡ぐ「共創の物語」
所在地:埼玉県ふじみ野市






