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スペシャルインタビュー

「自由に生きる」ために必要な資質・能力を着実に培う教育を実践する「富士見市立水谷小学校」

東武東上線「みずほ台」駅東口より徒歩約12分。閑静な住宅地に隣接する「富士見市立水谷(みずたに)小学校」は、1873(明治6)年の開校より150周年を迎えた歴史ある学校です。2024(令和6)年5月時点の児童数は900名を超え、大規模校ならではの勢いを感じる教育活動が行われています。

今回はそんな「富士見市立水谷小学校」の大畠仁校長先生を訪ね、学校の歴史や概要、特色ある取組や地域とのつながりについてなど、お話を伺いました。

大畠仁 校長先生
大畠仁 校長先生

開校150周年を迎えた歴史ある「富士見市立水谷小学校

――「富士見市立水谷小学校」の歴史、概要について教えてください。

大畠先生:この地は歴史が非常に古く、近くに「水子貝塚公園」という国指定の史跡がありますが、縄文時代の石斧(せきふ)などが発掘されたことからも分かるように、大昔から人々が暮らしてきた場所です。

「水子貝塚公園」
「水子貝塚公園」

大畠先生:その地に本校が誕生したのは1873(明治6)年のことで、小学校令に伴い当時の鶴馬・勝瀬・南畑・針ケ谷・水子の5つの村が連合して鶴馬村の来迎寺(らいごうじ)を校舎に充用したというのが始まりです。

現在の「富士見市立水谷小学校」になったのは1972(昭和47)年で、今年度が52年目になります。市内では「鶴瀬小学校」、「南畑小学校」とともに最も歴史のある学校です。

昨年度この3校が開校150周年を迎え、それぞれ記念式典を行いました。本校においても児童と教職員が運動場に集まりバルーンを飛ばしたり航空写真を撮ったりして開校150周年のお祝いをしました。また地域のみなさまを来賓としてお招きし、開校150周年記念式典も行いました。あらためて本校が地域のみなさまに愛されて、また地域のみなさまに支えられてきた歴史ある学校であるということを実感しました。

昨年度、児童数の増加に対応するため東校舎を増築し、本年度から利用しています。開校150周年を迎えるのと同時に新校舎も完成し、社会情勢の変化また学校の重要性が再認識されるなかで、水谷小学校の新しい歴史が始まったように感じています。

「富士見市立水谷小学校」校舎
「富士見市立水谷小学校」校舎

――学校に通うお子さんたちの印象はいかがでしょうか。

大畠先生:子どもたちは人懐っこくて、顔を見れば手を振ってくれるし、とてもおだやかで素直です。挨拶もよくするし、返事も素晴らしい。

学校生活ではさまざまな場面で拍手がよく起きます。新学期が始まり、転入した教職員の紹介や担任の先生が発表されるたび、自然と拍手が出ていました。これはきっと地域性もあると思っています。親に愛され、地域に愛されているからこそ、そういう行動が自然と出るのだと思います。

――学校経営方針にある「気力」という言葉に込めた思いについてもお聞かせください。

大畠先生:「気力」という言葉は、私が着任してから掲げた言葉です。どのような世の中においても自由に生きる力を育てることが公教育の本質だと思っています。それを子どもたちに伝えるために、「気力」という言葉を使うようにしました。簡単に言えば「○○のために何かをしよう!」という気持ちです。この「〇〇のために」という気持ちが、行動の原動力になると思っています。

校内にも掲げられている「気力」
校内にも掲げられている「気力」

「学び好き」と「非認知能力」をキーワードに掲げ、特色ある取組を実践

――学校教育目標に掲げる「かしこく やさしく たくましく」について教えてください。

大畠先生:学校教育目標に掲げる「かしこく やさしく たくましく」というのは、普遍的な目指す児童像だと捉えています。今の子どもたちが社会で活躍する頃は、社会が急激に変化し、予測困難な時代になっていることが予想されます。そのような中、学校に求められるのは、どのような世の中になっているのかを見据えて、必要な資質・能力を着実に培う教育を実践していかなければいけないと強く思っています。

学校教育目標
学校教育目標

大畠先生:そこで本校は2つのキーワードを掲げて教育活動を実践しています。ひとつは「学び好き」です。複雑にいろんなことが変化する世の中では、それに対応する学びが必要になってきます。

もうひとつは「非認知能力」を高めることです。小学校では、協調性とか努力する大切さとか我慢する力、他者に対するやさしさとか思いやりなど、培っていくことが求められています。小学校は人間性を育む最初のベースになる部分で、リアルな関係の中で人間性を培っていくことが学校の使命だと考えています。

――具体的な教育活動について教えてください。

大畠先生:「かしこく」の側面では、「探究的・協働的な学び」を重視しています。学べば学ぶほど新しい課題が生まれて、その課題を解決するという学びのサイクルを大切にしていきたいと考えています。

特色ある学びとしては、総合的な学習の時間に異学年集団によるプロジェクト型の学びを実践しています。交流ではなく、異学年で学習するというのは全国的にも珍しい取組だと思います。自分の興味・関心のあるプロジェクトを選択できるようにしており、3年生から6年生まで異学年の子どもたちが入り混じって「探究的・協働的な学び」を行なっています。

例えば、「小麦栽培を復活させ、人気のパンをつくろう!」や「地元のお囃子を受け継いで、水谷祭を開催しよう!」といったプロジェクトがあります。ただパンをつくると言っても、そのためにはパンや地域の歴史であったり、マーケティングについても学ばなくてはなりません。お囃子についてもただ技術を学ぶだけではなく、後継者問題を考えたり、お祭りを開催するプロデュース力を培ったりするなど、単なる活動にならないような学びを心がけています。

2022(令和4)年時のプロジェクト資料(引用:PR TIMES)
2022(令和4)年時のプロジェクト資料(引用:PR TIMES)

大畠先生:次に「やさしく」の側面ですが、本校ではチェックインの時間(朝の会)で、全校一斉に1分間の瞑想をして心を整えるところからスタートします。また毎日テーマを掲げてペアトーク、グループトークをして自分の思いや考えを伝え合い、おたがいの意見や考えを尊重し合いながらコミュニケーション力を養います。

さらにチェックアウトの時間(帰りの会)では、メタ認知能力や自己肯定感を高めるため、その日1日を振り返ります。自己分析を日記に書き留め、担任も目を通し、自己肯定感を高めています。

そして「たくましく」の側面では、体育的行事を充実させています。運動会や持久走記録会はもちろん、クラスが一丸となって取り組む8の字跳びの大会を行うことで体力や技能の向上はもちろん、非認知能力を高める狙いもあります。

2024(令和6)年 「富士見市立水谷小学校 グランドデザイン」
2024(令和6)年 「富士見市立水谷小学校 グランドデザイン」

地域とつながる「探究的・協働的な学び」に取り組む「水谷博士DAY」

――学期に1度行われている「水谷博士DAY」について詳しく教えてください。

大畠先生:先ほどお話しした異学年集団によるプロジェクト型の学びを「水谷博士タイム」と呼んでいます。毎週火曜日の5、6時間目にプロジェクトに取り組んでいますが、2時間ではできることに限りがありました。ですので、昨年度から一日6時間をフルに「探究的・協働的な学び」ができる「水谷博士DAY」を学期に一度設けています。2学期である程度プロジェクトを達成し、3学期にはお祭り方式やプレゼンテーション方式で、体験してもらったり発表してもらったりして、学んだことを交流します。

「協働的、探究的な学び」のプレゼンテーションの様子(引用:PR TIMES)
「協働的、探究的な学び」のプレゼンテーションの様子(引用:PR TIMES)

――保護者や地域との関わり、交流について教えてください。

大畠先生:学校経営や運営についての意見交換の場として、町会長をはじめ地域の各団体の代表者などを委員として学校運営支援者協議会を年3回ほど行なっています。また学校応援団という組織があり、コーディネーターを中心に児童の学習補助や登下校の見守り活動、環境整備などの支援をいただいています。

また先ほどお話しした「水谷博士タイム」でも地域のみなさまにご協力いただいています。地元の農家の方やパン屋さん、公民館の職員の方や給食センターの栄養士の方、理化学研究所の職員の方や水子貝塚資料館の職員の方、地元のお囃子保存会のみなさまなど、多くの方の力をお借りしています。

2022(令和4)年に協力いただいた「しあわせパン工房『KoMugi』」さん(引用:PR TIMES)
2022(令和4)年に協力いただいた「しあわせパン工房『KoMugi』」さん(引用:PR TIMES)

大畠先生:ほかにも社会福祉協議会の方や町会、地域ボランティアのみなさまには登下校時の見守りをしていただき、とても感謝しています。3世代にわたって本校出身というご家庭も多く、学校の教育活動に対するご理解とご協力をいただいております。

子育てしやすい魅力あるまちづくりが進められている富士見市

――学校周辺の子育て環境の魅力について教えてください。

大畠先生:各地域に町会があって、まとまりが維持されています。PTAや社会福祉協議会、まちづくり協議会や青少年育成市民会議などいろんな組織が機能しています。

街の雰囲気はとても落ち着いていますね。閑静な住宅街という表現にふさわしく、犯罪も少ないですし、子どもも多く明るくにぎやかな雰囲気です。このあたりは都心へのアクセスも良いですし、近くには大型商業施設の「ららぽーと富士見」もあります。生活をするのにはとても便利だと思います。

ショッピングセンター「ららぽーと富士見」
ショッピングセンター「ららぽーと富士見」

大畠先生:また行政も子育て支援に力を入れていますし、教育環境が充実しています。エアコンの設置も早かったですし、体育館にもすべてエアコンが完備されています。子どもたちをサポートする学習支援員やすこやか支援員など会計年度職員の配置も充実していますので、学習環境は整っていると言えます。

――これから富士見市みずほ台エリアにお住まいになられる方へメッセージをお願いします。

大畠先生:富士見市は埼玉県内でも人口増加率の高い街として知られていますが、魅力あるまちづくりができているからこそ、人が集まっているのだと思います。大型商業施設の「ららぽーと富士見」をはじめ、総合体育館や市民文化会館の「キラリ ふじみ」、中央図書館など公共施設が整っています。また「富士見市子ども未来応援センター」などもあり子育て支援が充実しています。

「富士見市子ども未来応援センター」の入る「富士見市立健康増進センター」
「富士見市子ども未来応援センター」の入る「富士見市立健康増進センター」

大畠先生:また、「子育てするなら富士見市で」というキャッチフレーズを実現できていることも、人口の増加につながっているのだと思います。伝統ある古いものと新しいものが融合する、新たなまちづくりがみなさんでできるとうれしいです。そのために学校も地域のみなさんと連携しているところですので、ぜひ富士見市にお越しください。

大畠仁 校長先生
大畠仁 校長先生

富士見市立水谷小学校

校長 大畠仁先生
所在地:埼玉県富士見市水谷1-13-3
電話番号:049-251-1130
URL:https://www.city.fujimi.saitama.jp/madoguchi_shisetsu/06school/shogakko/2010-0511-1817-137.html
※この情報は2024(令和6)年9月時点のものです。

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