生徒会活動・部活動が盛んな公立中

ICT教育に五輪教育も進め、地域に活気を与える「新座市立第二中学校」

新座市の北部、自然豊かな野火止用水と、JR武蔵野線の線路が交わる付近にある「新座市立第二中学校」は、人口が増えている国道254号線以北のエリアを広く学区に持つ中学校で、新座市に6校ある中学校の中でも圧倒的に生徒数が多い“マンモス校”として知られている。また、部活動の活躍も目覚ましく、校舎の外壁には多くの活躍した生徒の名前が掲げられ、地域の人々に活気をもたらしている。

今回は「新座市立第二中学校」伊藤進校長を訪ね、学校の特徴や地域との関わり、近年力を入れているICT(情報伝達技術)の積極導入などについて、多方面にわたってお話を聞くことができた。

校長 伊藤進 先生
校長 伊藤進 先生

――まず、学校の歴史と沿革について教えてください。

本校は今年(2020年)で創立50周年目を迎える中学校で、新座市もちょうど市制50年目を迎えるということで、市の歴史とともに歩んできた学校です。今年(2020年)の10月16日には、創立50周年の記念式典を予定しております。

学校の規模は非常に大きく、今年度は1、2年生が9クラス、3年生が8クラス、特別支援学級が2クラスの28学級で、生徒数が6月1日現在で997名、これは、埼玉県内で2番目という規模になります。もちろん、新座市では一番の生徒数です。教職員数も80名を超えるという、非常に大規模な中学校になります。

「新座市立第二中学校」校舎外観
「新座市立第二中学校」校舎外観

――生徒数はいまも増え続けているのでしょうか?

時代の流れとともに一時期は減っていたのですが、ここのところ急に増えだしています。来年度にはおそらく、1000人を超えると思います。

――校舎のキャパシティはいかがでしょうか?

昔はもっと生徒数が多かったので、まだ若干は余裕がありま、数年以内には、大規模改修を予定しているということです。トイレについては最近改装されたばかりで、とてもきれいなトイレが使えるようにもなっています。

インタビュー取材時点での教室様子
インタビュー取材時点での教室様子

――学校の教育活動、目標などについて教えてください。

本校は新座市教育委員会から研究委嘱を受けて、「思考力・判断力・表現力をはぐくむ指導法の研究」を行っています。その中で、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の視点立った授業改善に取り組んでいるところです。今年は、その研究の成果を発表することになっています。

――特に力を入れている分野や教科などはありますか?

本校の校訓は「まごころ」、学校教育目標は「明朗」「向上」「自主・自立」としてます。また、今年度は重点目標に「一人一人の確かな成長」という言葉を掲げ、これを実現するために、「4つの柱」を定めました。ひとつは、「個に応じた学力の向上」、2番目は「豊かな心と健やかな体の育成」、3番目が「保護者・地域との連携」、4番目が「ICT機器の活用推進」になります。

また、学校全体で特に心がけていることに「ICT機器の活用推進」です。ICTを活用することで、知識を習得することや、思考力・判断力・表現力等の育成がより充実するもちろんありますが、同時に、教師の事務時間の大幅な軽減も図れると思っています。ICTの活用推進していくことで、授業の準備に時間をかけることができ、「主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業改善」進むだろうと考え、特に力を入れているところです。

「新座市立第二中学校」校訓
「新座市立第二中学校」校訓

――ICT機器の活用について、具体的な例があれば教えてください。

実は、新座市は全国的に見てもかなりICT教育が進んでいる市です。つい先日のことですが、今年度中に8550台を超えるモバイルパソコンを、市内の中学校に導入していただけることが決まり生徒一人に1台のモバイルパソコンなります今はその準備として、どのよな活用が授業を充実させられるか、教師の業務の効率化が図られるかなどを検討しているところです。

イメージとしては、教師が作った問題をモバイルパソコンに表示して、それを各自自分で解いたり、モバイルパソコンを貸し出しできるような体制が構築できれば、家庭学習に使ったり、リモート授業などにもつなげていけると思っています。多様な子供たちをだれひとり取り残すことなく、公正に個別最適化された質の高い教育の推進に努めていきます。

既に利用されているモバイルパソコン
既に利用されているモバイルパソコン

――定期試験についても、マークシート式のテストを取り入れたり、ユニークな取り組みをされているそうですね。

そうですね。これは一昨年度から取り入れている自動採点システムと関連しているものです。一部の教科でマークシートを使ったテストを実施して、コンピュータで採点するということを始めています。 教師の視点から見ると、たとえば五者択一にした時に、生徒の解答の思考をパターン化して、5つの中に誤答しやすい解答を作ることなどができるので、パターン別の誤答率を瞬時に集計して、授業改善に役立てることができるなど、メリットが沢山あります。

もちろん、採点も一瞬で終わってしまいますから、授業の工夫改善のために時間を割くこともできると考え導入をしました。 一方で、国語など、どうしても書かないと学習の習得状況を確認ができない教科もあります。そのような教科については、今年度中に手書きの文字を判別して、自動採点できるシステムを導入します。

――学校行事も盛大に行われているようですね。どんな行事があるのでしょうか?

第二中学校の“三大行事”は「体育祭」「合唱祭」「3年生を送る会」です。各行事は生徒会を中心に縦の連携を取りながら準備を行っています。特に体育祭については、「色別アピール」と言う応援合戦が見ものです。3年生がリーダーとなって、夏休みから準備を始めていますが、アピールの構成や曲などすべて生徒が考えて、9月の体育祭で披露しています。リーダーともなればかなりの負担がかかるわけですが、体育祭後の解団式で一部生徒は感動して号泣しています。

こういった行事を通して、大きな充実感・達成感を得てくれているのかと思います。合唱祭についても同様に、生徒主体で盛大に行っています。残念ながら今年度は、新型コロナウイルスの関係で体育祭も合唱祭も中止になってしまったのですが、毎年とても盛り上がる行事ですね。

――オリンピック・パラリンピック教育にも力を入れているそうですね。

そうですね、新座市はブラジル連邦共和国のホストタウンです。本校としてもブラジルの方々との交流を持ちたいと考え、昨年度は、ブラジル大使館に生徒会本部メンバーで訪問をしたり、大使館の外交官の方に来校して頂いて、ブラジルの話をしてもらったりしました。また、本校はウエイトリフティングの三宅宏実選手の出身校ということもあって、オリンピックに対する関心は非常に高いと思います。

ブラジル大使館など、国際交流も盛ん
ブラジル大使館など、国際交流も盛ん

リオ五輪で活躍の三宅宏実選手のサイン
リオ五輪で活躍の三宅宏実選手のサイン

――2019年には大学の教授が来校して、理科の講義をするという企画もあったそうですね。

いま、子供たちの「理科離れ」とよく言われます。私としては「理科って本当は楽しい」ということを、子どもたちに伝えたいと常に思っていました。そんな折に、たまたま日本大学の理工学部の准教授と知り合う機会がありました。そこで、昨年度、学生さんと一緒に来校していただいて、中学校の実験器具ではできない実験を体育館で行ってもらいました。生徒の反応も非常に良く「授業が楽しく理科に興味をもった」といった声が多くあり、今年度は埼玉大学の教育学部の教授に依頼し11月に実施します。

――続いて、「地域との連携・交流」についてお聞きします。まず、周辺の学校や幼稚園との交流についてはいかがでしょうか?

幼稚園との交流については、近隣に幼稚園がありますから、家庭科の授業の時間に3年生が訪問して子どもたちと交流しています。また、近くに「地域子育て支援センター つぼみ」という施設があるので、そちらを利用されているお母さんと赤ちゃんに学校に来校していただき、赤ちゃんを実際に抱っし、あやすなどの体験活動もしています。

小学校との交流については、年に2回運動部の大会があります。その時には多くの生徒や教員が大会に行ってしまいますから、その間、残った生徒が「中学生ピアサポーター」として、校区内の小学校の授業に入って、学習支援をするということも行っています。ほかにも、小学校で陸上大会がある前には、本校の陸上部の生徒が教えに行ったり、合唱交流、部活動見学・体験も行ったりしています。

――地域に住む人々や、PTAとの連携・協力についてはいかがでしょうか?

本校は長い伝統があるのと同時に、地域全体が学校教育に協力的な校区ですので、地域の方との交流や、PTA活動も非常にさかんです。年間を通じて、さまざまな行事や活動の中で、地域の方やPTAの皆さんには多くのご支援をいただいています。また、本校は「コミュニティスクール」ですので、学校運営協議会を通じて、地域の声を積極的に生かしながら、地域と一体となった特色ある学校づくりを進めています。市内の公立小中学校は全て「コミュニティスクール」です。

また、本校の校区には「二中校区ふれあい連絡協議会」、「二中学校応援団」、があり、PTAと連携しながら、いろんな場面でご支援、ご協力をいただいています。たとえば、朝のあいさつ運動や花植えなどの環境整備、下校時間のパトロールを行っていただいています。また、「おはなしの雫」というサークルの方による朝の読み聞かせも行っていただいています。

朝のあいさつ運動の様子(提供:新座市立第二中学校)
朝のあいさつ運動の様子(提供:新座市立第二中学校)

――地域の方が主催するイベントがあれば教えてください。

毎年11月の土曜日に、PTAが主催する「二中フェスタ」というイベントがあります。内容は、バザーをやったり、PTAの方が食べ物を作ってくれたりします。地域の方が来られるほか、子どもたちも部活の帰りに寄って楽しんでいます。このバザーの収益は、多くの教育活動に使わせていただいています。校庭横にある横断幕もこの収益から作成していただいています。このほかにも、「ふれあい連絡協議会」が主催する(保護者向けの)講演会なども開いていただいています。

「二中フェスタ」の様子(提供:新座市立第二中学校)
「二中フェスタ」の様子(提供:新座市立第二中学校)

――垂れ幕にも書かれていましたが、部活動もずいぶん盛んなようですね。

部活は、運動部も文化部も本当に盛んです。現在、運動部が12、文化部が9ありますが、毎年多くの部が地区予選を突破して、県大会や関東大会にも出ています。ほぼ毎年、いくつかの部が関東大会に出場しています。昨年度は卓球部と、陸上部が関東大会に出場しました。

地域の方も多くの生徒の活躍を見れる
地域の方も多くの生徒の活躍を見れる

――学校の敷地内に市道があり、日常的に地域の方が歩いているそうですね。

そうなんですよ。正門から校舎の前を通る形で、学校の“ど真ん中”に歩道が通っていて、地域の方の生活道路になっています。これはもともと、学校を建てる時に地域を分断してしまわないようにと残されたようなのですが、今では、安心・安全という面でもメリットがかなり大きいですし、開かれた学校づくりという面でも、良いことだなと感じています。

敷地内には、地域の方の生活道路が通る
敷地内には、地域の方の生活道路が通る

――今後の学校運営のビジョンについて教えてください。

当面は、「学力の向上」を軸にして、「個に応じた学力の向上」ということに重点的に取り組みたいと思います。現在本校は、全国の学力・学習状況調査や、県の学力学習状況調査などを見ても、比較的学力が高い水準にあります。また、埼玉県独自で「小学校からの伸び率」というものも見ているのですが、これもかなり高い水準にあります。

とは言っても、課題がないわけではありません、多くのデータを分析しながら課題を見つけ、分析にもとづいた授業改善を行っていくことを大切にしていきたいです。また、その分析にICTを加味することで、教職員の負担も軽減でき、授業の質の効率的な向上も図れると思っていますので、ICTの導入にも力を入れていきたいと思っています。

――最後に、地域の魅力と、おすすめのスポットを教えてください!

ひとつは、地域の誇りでもある「野火止用水」です。新座市では野火止用水について小学校の時から学んでいます。二中の校区を流れる用水については、二中の生徒会が中心になって、地域の方や小学生と一緒に、清掃活動を行っています。地域の誇りである野火止用水が、地域をひとつにしていると思います。

また、新座市は市のキャラクターが「ゾウキリン」というくらいですから、新座市は雑木林が多くあり、自然が豊かです。「野火止用水」もそうですし、「平林寺」や「睡足軒の森」などは有名です。そういった中で、市としても「花のあるまちづくり事業」や、「カブトムシの里づくり」、「新座みかん園」の整備など、いろいろな自然を生かす取り組みを行うなど、快適未来都市を目指しています。

校長 伊藤進 先生
校長 伊藤進 先生

新座市立第二中学校

校長 伊藤進 先生
所在地 :埼玉県新座市野火止7-17-10
電話番号:048-477-1212(代表)
URL:http://www.c-niiza.ed.jp/j-daini/
※この情報は2020(令和2年)年6月時点のものです。