大泉学園 新座市片山・池田エリアOIZUMIGAKUEN areaguide

特別インタビュー

低学年からICT教育を推進する一方で、健康教育にも力を入れる「新座市立池田小学校」

日経BP社による「公立学校情報化ランキング2021」で小中学校ともに全国1位になった埼玉県新座市。その南東部に位置し、東京都練馬区に隣接する池田地区に、「新座市立池田小学校」はある。10年前にも同校に勤務し、教育委員会を経て2022(令和4)年4月に着任した鶴田千尋校長先生に、独自の取り組みや地域の魅力などを伺った。

取材にご協力いただいた鶴田千尋校長先生
取材にご協力いただいた鶴田千尋校長先生

食や運動などの健康教育に取り組む「新座市立池田小学校」

――まず「新座市立池田小学校」の概要と独自の取り組みをお聞かせください。

鶴田校長先生:本校は1972(昭和47)年に創立した学校で、2025(令和7)・2026(令和8)年の2年間で、断熱化、バリアフリー化、内装の木質化など長寿命化のための改修工事を実施予定です。児童数は現在430名で、「健康で よく学ぶ 心のゆたかな子」を学校教育目標として掲げています。

私が着任したのは3年前で、まだ飛沫防止のアクリル板やソーシャルディスタンスなどのコロナ禍の影響が残っていました。どうやって以前の状況に戻していくかを考えた結果、市の方針でもあるICTの活用をより強く推進しようと決め、1年生の授業にも「Qubena(キュビナ)」や「ロイロノート」などの学習アプリを活用するようにしました。他校では低学年には難しいという考えから早くても3年生から始める学校が多いのですが、実際に1年生にやらせてみると、写真を撮ってその画像をデータに貼り付けて提出することを抵抗なく行えることがわかりました。低学年は計算や漢字といった基礎学習がメインなので、AI型のドリルと考えて「Qubena」も使っています。

子どもたちは楽しく取り組んでいますね。学力がどこまで伸びるかは未知数でしたが、現状のレビューを見る限り有効だと考えています。

1972(昭和47)年に開校した校舎
1972(昭和47)年に開校した校舎

鶴田校長先生:もうひとつ独自に取り組んでいるのは、「健康教育」です。子どもたちに健康的な生活を心がけてほしいと思い、しっかり食べて、動いて、寝るという基本に立ち返り、食育を中心に取り組み始めました。市内にある「十文字学園女子大学」の栄養学の准教授である德野先生にご協力いただき、昨年度は現在の6年生に食のアンケート調査も行いました。調理、野菜の栽培、防災食など多面的にアプローチし、学校給食調理コンクールにも入賞しました。現在も德野先生に栄養指導で来ていただいて、栄養相談など保護者との面談を行っています。

今年度は「十文字学園女子大学」の体育の先生にオリジナルの体操を考案していただき、運動会などでやることで健康への意識付けに努めています。食は家庭の協力が欠かせないものですし、学校だけでは完結しません。でも、意識するきっかけとして取り組むことは大事だと思っています。

2023(令和5)年度に行った食育指導の研究成果をまとめた資料
2023(令和5)年度に行った食育指導の研究成果をまとめた資料

――毎週火曜には体育朝会や音楽朝会などを行っているようですね。

鶴田校長先生:音楽朝会は毎月曲目が決まっていて、それを1カ月間練習して全校児童で歌います。学年発表もあり、その月の担当学年が歌ったり楽器の演奏をしたりします。

体育朝会は年度ごとに種目が決まっていて、今年度は大縄跳びです。学校によっては月ごとに種目を決めているところもありますが、本校は1年間同じ運動に取り組んでいます。音楽朝会と体育朝会のほか、委員会活動の発表などを行う児童集会もやっています。

4階建ての校舎
4階建ての校舎

落ち着いた池田地区に暮らす子どもたちは明るく素朴

――学校に通われている子どもたちは、どのような印象をお持ちですか。

鶴田校長先生:池田地区はまだ一部畑が残っているところもありますが、基本的に周辺は宅地化されていて、落ち着いた住宅街が広がっています。宅地化を機に引っ越してきた人が多く、代々住んでいる方と混在しているようです。「保谷」駅や「大泉学園」駅の駅前もせわしい環境ではないからか、子どもたちはせこせこしたところがなく、総じて明るく素朴な印象です。

「大泉学園」駅前のようす
「大泉学園」駅前のようす

――幼保小連携事業等があるようですが、近隣の幼稚園や保育園とはどのような連携をしていますか。

鶴田校長先生:近くの「栄保育園」と「元気キッズ新座池田園」とはよく連携しています。年に数回園児を招いて、1年生と一緒に体育館で遊んだり、校内探検をしたり、ランドセルを背負ってみたり、さまざまな体験を楽しんでもらっています。最近は、園児にタブレットを使わせてほしいといった要望もありますね。こうした交流は、子どもたちの保育園から小学校へのスムーズな接続のために役立っていると思います。

また、総合の授業の一環として5年生が保育園を訪問し、園児と交流しています。翌年度には最高学年として1年生を受け入れ、面倒を見る立場になるので、心づもりができるでしょう。訪問時には折り紙で作ったボールや手裏剣などをお土産に持って行っていて、よろこばれているようです。

交流のある「元気キッズ新座池田園」
交流のある「元気キッズ新座池田園」

町内会の活動が盛んで、子どもたちも餅つき大会や桜まつりを満喫できる新座市池田地区

――2018(平成30)年からコミュニティスクールに指定されておりますが、地域の皆さまとはどのような連携がございますか。

鶴田校長先生:この辺りには池田町内会、新栄町内会、栄一丁目町会、栄二丁目町会があり、活動が盛んです。餅つき大会や桜まつりといった町内会主催のイベントがよくあり、本校の児童や保護者の方々も、地域住民の方々と一緒に楽しんでいます。

校舎内にある市の高齢者の憩いの場「池田高齢者いきいき広場」とも昔は交流があり、子どもたちがシニアと将棋を指したりしていました。コロナ禍以降交流が少なくなってしまっていましたが、ようやく昨年度、地域の人を招いて子どもたちと一緒に給食を食べる「給食試食会」を復活させました。

また、学習ボランティアとして、保護者や地域の方にミシンの指導や調理実習などをしていただいています。

家庭科室
家庭科室

鶴田校長先生:さらに中でも非常にありがたく思っているのは、登下校の見守りです。過去に県内で不審者による声かけ事案があった際、その犯人は「新座も考えたが、通学路にお年寄りがたくさん立っているからやめた」と供述したそうです。また、本校の東側に交通量の多い大泉学園通りがあり、そこから本校の方に栄一条通りから栄八条通りまで8本の通りが伸びています。それが抜け道になっていて車が多く通るため、安全面という意味でも心強いですね。

――市が進める事業『桜満開プロジェクト』からも、地域の人の学校に対する思い入れの強さが感じられます。校庭のヤマザクラについて教えていただけますか。

鶴田校長先生:本校の校庭に生えているヤマザクラは、片山に住んでいる方が高校生の頃に植えたものです。ヤマザクラは本来80年ぐらいの寿命があるようですが、以前木の周りにあったコンクリートの囲いが根の成長を妨げたことに加え、台風の影響もあって数年前からひどく弱っていました。最初は伐採するという話だったのですが、本校での勤務経験がある教育長が、多くの児童や卒業生、地域の人に愛されてきた木だからとストップをかけ、伐採は見送られました。

そして、本校のヤマザクラの枝から苗木をつくり、それを新たに植えることになりました。

学校のシンボルツリーであるヤマザクラ
学校のシンボルツリーであるヤマザクラ

鶴田校長先生:市内の他の小中学校の桜も老齢期を迎えていたため全市で取り組むことにして、2019(令和元)年に市がクラウドファンディングで資金を集めました。そして2023(令和5)年、かつて木を植えた片山在住の方と本校の児童代表が、プール横に苗木を植樹しました。桜の苗木は育てるのが難しいらしく、100本のうち順調に成長した3本の中から一番元気なものを選んで植えました。うまく根付かない可能性も考えて、残り2本の苗木も植木屋さんで大事に保管しています。

名水百選に選ばれた湧水も魅力の、落ち着いた住宅街が広がる新座市池田地区

――学校から見た周辺エリアの魅力や、具体的なおすすめスポットがあれば教えてください。

鶴田校長先生:落ち着いた住宅街であること、子どもたちを見守ってくれる地域住民の方々のあたたかさなどが魅力でしょうか。おすすめスポットは、近くを流れる黒目川沿いにある「妙音沢」です。平成の名水百選にも選ばれた湧き水で、澄んだ水が雑木林を通って黒目川に注いでいます。弁天様が琵琶の秘曲を授けたという伝説があって、それで「妙音沢」という名がついたそうです。

妙音沢
妙音沢

鶴田校長先生:他に挙げるとしたら近くにある「県営和光樹林公園」でしょうか。 「県営和光樹林公園」には広い芝生やランニングコースもあり、家族連れにも人気です。歩いていくには少し距離がありますが、子どもたちは自転車で行っているかもしれません。

「県営和光樹林公園」の複合遊具
「県営和光樹林公園」の複合遊具

――これからこのエリアに住みたいと考えている方々に一言お願いいたします。

鶴田校長先生:新旧いろんな方が住んでいらっしゃるエリアで、皆さん価値観も多様だと思います。片山に比べると新しく入ってきている人の割合が多いような気もします。イベントに参加したり、コミュニティに参加したりして、皆で一緒に地域を盛り上げてっていただけたらと思います。

鶴田千尋校長先生
鶴田千尋校長先生

新座市立池田小学校

鶴田千尋校長先生
所在地:埼玉県新座市池田4-8-49
電話番号:048-479-4051
FAX:048-482-6793
URL:https://e-ikeda-c-niiza.edumap.jp/
※この情報は2025(令和7)年2月時点のものです。

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