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特別インタビュー

盆栽学習を通じて命の尊さや伝統文化を学び、地域への愛着と感謝を育む「さいたま市立植竹小学校」

さいたま市北区の「さいたま市立植竹小学校」は、学区内に盆栽の聖地とされる盆栽町があり、盆栽を教育に取り入れている。着任して3年目の佐野嘉則校長先生に、特色ある取り組みや大切にしている考え、地域との関わりについて伺った。

佐野嘉則校長先生
佐野嘉則校長先生

子どもを中心に据えた教育活動を大切に

――まず、貴校の沿革や学校が大切にしてきた教育の考え方についてお聞かせください。

佐野校長先生:本校は1951(昭和26)年創立で、今年度開校74年目を迎えました。着任して初めて知ったときから、本校の学校教育目標が気に入っています。「すすんでまなぶ子」「たすけあう子」「げんきな子」と最後に「子」が付いていて、子どもを中心に据えて考えないと立てられない目標だと感じたので。校長には学校教育目標を変える権限もありますが、変えることはないだろうと感じました。歴代の校長先生も子どもを真ん中に置いた教育活動を積み上げてきたのだろうと思い、私もその考えを受け継いで大切にしています。

正門
正門

――日々の教育活動の中で大切にしている“学びの姿勢”や、子どもたちに身につけてほしい力を教えてください。

佐野校長先生:たくさんありますが、学びの姿勢として大切なことをひとつ挙げるなら「人の話を聞くこと」ですね。聞かないと理解もできないし、良い行動にもつながりませんから。そして、聞くときの姿勢も大事です。話をしている人の方に体を向ける、目を見て聞く、といったことも日頃から子どもたちに伝えよう、と先生たちにも話しています。

身につけてほしい力をひとつだけ挙げると、「考えてから行動すること」です。先日子どもたちにも全校朝会で話しました。低学年の子にもわかるよう、イソップ物語を例に説明しました。池に石を投げて遊んでいたら、池に住んでいるカエルに当たってしまうというお話。「当てるつもりがなくても、そのカエルにしてみれば命に関わること。何かするときは1回考えて、自分がやることでどんなことが起こりうるかよく考えようね」と話しました。大人でもなかなかできないことですが、だからこそ子どもの頃から心がけてほしいと思います。

正面玄関
正面玄関

――貴校ならではの取り組みがあれば教えてください。盆栽についての学習についても伺えれば幸いです。

佐野校長先生:本校ならではの取り組みといえば、やはり盆栽学習ですね。私自身、植竹小への異動が決まったとき最初に思い浮かんだのは盆栽ですし、学区に盆栽町があり、さいたま市では盆栽学習を教育課程に位置づけている唯一の学校ですから。ちなみに、盆栽町の前身である盆栽村が誕生して今年で100周年。そして本校で盆栽学習が始まって20年目となります。

2階屋上に設置された「にこにこ盆栽庭園」
2階屋上に設置された「にこにこ盆栽庭園」

佐野校長先生:盆栽について学ぶのは5・6年生。総合的な学習の時間に、盆栽の歴史や種類、剪定の仕方などを学び、一人一鉢「マイ盆栽」を作って手入れをし、卒業時には持ち帰って各自で育ててもらいます。命を慈しむこと、指導に来てくださる地域の方への感謝、日本の伝統文化など、さまざまなことを学べます。

盆栽庭園の一角には、子どもたちの「マイ盆栽」が並ぶ
盆栽庭園の一角には、子どもたちの「マイ盆栽」が並ぶ

「本物に触れる」取り組みで、座学では得られない学びを

――2022(令和4)年の取材からの変化として、学校運営・施設・学習環境などで新しく取り組んでいることがあれば教えてください。

佐野校長先生:基本的な方針は踏襲していますが、新たに力を入れているのが「本物に触れる」取り組みです。Jリーガーや警察学校の方を招いた防犯教室、さらにはリオオリンピックで金メダルを獲得した体操選手・加藤凌平さんによる実演など、実体験を通して子どもたちの心に刺激を与える機会を設けてきました。着任3年目となり、こうした取り組みは今後も継続していきたいと考えています。

実際に第一線で活躍する方の話を聞くことで、将来の目標を思い描いたり、座学では得られない学びを感じ取ったりすることができます。努力を重ねてきた過程を本人の言葉で知ることにも、大きな意味があると感じています。

こうした「本物」は地域にも多くいらっしゃいます。継続的にゲストティーチャーとして招くためには、地域とのつながりをより強めていくことが欠かせません。さいたま市には、地域と学校を結ぶ「スクールサポートネットワーク」があるため、これを活用し、事例や連絡先を共有できる人材バンクを整備したいと考えています。教員の負担軽減にもつながる取り組みとして、個人情報の管理を含め、現在提案に向けた準備を進めているところです。加えて、学校とゲストティーチャーをつなぐコーディネーターの存在も重要だと考えています。

「スクールサポートネットワーク」とは(引用:「コミュニティ・スクールについて」(さいたま市PTA協議会資料)より)
「スクールサポートネットワーク」とは(引用:「コミュニティ・スクールについて」(さいたま市PTA協議会資料)より)

――児童の皆さんが日々どのように学校生活を送っているか、学校として大切にしている“日常の姿”を教えてください。

佐野校長先生:子どもらしく、のびのび、元気よく生活していることですね。それを確認するため、私は全教室を回ることを日課にしています。大体3時間目か5時間目のどちらかに、特別支援学級3クラス、通常学級24クラス、計27クラスを回ります。

教室内に入り、空いている席があれば座って子どもたちの様子を観察します。しっかり話を聞いている姿や一生懸命発言している様子を見られるとうれしいですね。45分では回り切れないこともありますが、やっぱり子どもと接することが好きなので。本当は、校長室に漢字や計算のプリントを置いて子どもたちに来てやってもらい、「校長先生が丸つけてあげるよ」とかやりたいんですよ。でも部屋の配置の関係上、子どもたちはあまり校長室の近くを通らないので。

校長先生も回るという「普通教室」
校長先生も回るという「普通教室」

盆栽を通して、子どもたちが小さい頃から地域を身近に感じている

――地域の方々と協力して行っている活動について教えてください。

佐野校長先生:さいたま市の学校には「Solaるーむ」という取り組みがあって、各学校で、学校には行きたいけど教室には入れないというお子さんのための部屋を用意しています。教員が指導する場合もありますが、なかなか時間を取るのが難しく、本校では地域の学習支援ボランティアの方々に見てもらうことも多いです。

その他にも花壇の手入れや落ち葉の掃除、草取りといった環境整備も、保護者の方がボランティアでやってくださっています。いつも登下校を見守ってくださる防犯ボランティアの方々にも感謝しています。地域や保護者の方々には、本当にいろいろご協力いただいています。

創立20周年を記念して作られた校庭の「植竹山」
創立20周年を記念して作られた校庭の「植竹山」

――教育の視点から見て、学校周辺の環境が子どもたちの成長にどのように良い影響を与えていると感じますか。

佐野校長先生:総合的な学習の時間は3年生から始まるのですが、本校では地域について学びます。そして、最初の授業は全クラス私が担当しています。さいたま市の良いところなどを話すにあたって、まずこの学区の特徴を聞くと、3年生でもパッと「盆栽」と答えるんですよね。他の学校の子に比べると、小さい頃から地域を身近に感じているように思います。

すぐ近くの「植竹公民館」の目の前には「盆栽バレー」という盆栽相談所があります。盆栽を愛する地域の方が身銭を切って設けたボランティア施設で、子どもたちが盆栽の手入れで困ったときなどに気軽に相談に乗ってくださいます。そうした人や施設の存在もあって、早くから地域に親しみを感じているのでしょう。

「盆栽バレー」
「盆栽バレー」

――最後に、この地域で暮らすことに興味を持ってくださる方へ、校長先生から一言お願いできますでしょうか。

佐野校長先生:この地域の方々は温かい人ばかりで、いつも子どもたちのために力を貸してくださいます。もしこの地域で暮らすことになったら、ぜひ子どもたちの笑顔のためにお力添えください。

佐野嘉則校長先生
佐野嘉則校長先生

さいたま市立植竹小学校

佐野嘉則校長先生
所在地:埼玉県さいたま市北区植竹町2-1
電話番号:048-663-7627
FAX:048-663-9885
URL:https://uetake-e.saitama-city.ed.jp/
※この情報は2025(令和7)年11月時点のものです。

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