住み続けたくなる「大宮」駅周辺のまちづくりを進める 「さいたま市都市局都心整備部」

さいたま市大宮は、かつて宿場町として栄え、現在も駅周辺で複数の再開発事業が進む。2018(平成30)年には駅周辺のまちづくり、交通基盤整備、駅機能の高度化を一体的に進める「大宮グランドセントラルステーション化構想(GCS構想)」がスタート。東日本の玄関口「大宮」駅を中心に、今も複数の再開発事業が進んでいる。

今回はそんな事業を担当する「さいたま市都市局都心整備部」のお二方に、「大宮」駅東口まちづくりの進捗状況やエリアの魅力について話を聞いた。

「さいたま市都市局都心整備部」の大石敬太さんと堀内彩さん
「さいたま市都市局都心整備部」の大石敬太さんと堀内彩さん

複数の機能を統合し、公共施設を連鎖的に建て替えて再編する「大宮」駅東口エリア

——大宮駅東口のまちづくり全般について、その進捗や特徴をお聞かせください。

大石さん:特徴のひとつは、公共施設再編による連鎖型のまちづくりです。今後人口も税収も減る中で従来通りに施設を維持していくのは難しいため、複数の公共空間や機能を連鎖しながら建て替えていく方針です。以前の大宮区役所は「大宮」駅の近くにありましたが、老朽化が進んだため、さいたま新都心駅と「大宮」駅の中間地点に大宮図書館と複合化した新しい区役所として、2019(令和元)年5月に移転しました。併せて、元の旧大宮図書館の建物は、2021(令和3)年12月に「Bibli(ビブリ)」という複合施設に生まれ変わっています。

次に、市民会館おおみやは、2022(令和4)年4月に大宮中央デパート等の跡地に開業した再開発ビル「大宮門街(おおみやかどまち)」に移転し、現在は「RaiBoC Hall(レイボックホール)(市民会館おおみや)」として親しまれています。以上が、これまでに再編された公共施設の状況です。

「大宮門街(おおみやかどまち)」
「大宮門街(おおみやかどまち)」

大石さん:現在は、「大宮」駅から延びる大宮中央通りと氷川参道の結節点に位置し、旧大宮区役所や大宮小学校等を含む地区である「駅前賑わい拠点」について検討を進めています。東口エリアのまちづくりの中でも注目度の高い事業で、令和7年8月に実施方針を策定しました。大宮小学校は現地で建て替え、大宮中部公民館と複合化して新しいコミュニティの核となる施設として整備する予定です。

現在の大宮駅東口は、駅周辺は賑わっている一方で、中山道を超えたあたりから人通りが少なくなる状況であるため、氷川参道まで人の流れが生まれるよう、民間事業者様の力も活用させて頂きながら、魅力ある施設を整備したいと考えています。

「駅前賑わい拠点」の対象地区(引用:「大宮駅東口周辺 公共施設再編 駅前賑わい拠点 実施方針」より)
「駅前賑わい拠点」の対象地区(引用:「大宮駅東口周辺 公共施設再編 駅前賑わい拠点 実施方針」より)

大石さん:当事務所では、公共施設の再編に加え、一の宮通りの街路整備なども計画しています。一の宮通りは古着屋さんなどがあって裏原宿のような雰囲気で、氷川神社や大宮公園に向かう人、専門学校生や会社員など多くの人が利用する通りです。そのため、高質な歩行空間や魅力的な街並みの整備によって、賑わいのある空間創出を目指しています。

堀内さん:これまでは道路というと車がメインの空間で歩行者は車道脇の歩道を歩くという考えが一般的でした。いまは道路を居心地がよく歩きたくなる空間にしようという考えが広まり、都市の道路を車中心からひと中心の空間に転換する取組が全国的に行われています。

一の宮通りは古くなった舗装を整え、電線を地中化して景観にも配慮し、歩道を拡張する予定です。これらの整備により、歩きやすく、また魅力的な街並み、氷川神社や参道、NACK5スタジアム等の地域資源を生かした賑わいのある空間づくりを目指します。

一の宮通りのストリートデザイン(左が日常時、右がイベント時)(引用:「一の宮通り ストリートデザイン方針」より)
一の宮通りのストリートデザイン(左が日常時、右がイベント時)(引用:「一の宮通り ストリートデザイン方針」より)

ベビーカー利用者も快適な、ファミリーが暮らしやすい駅前をめざす「大宮」駅

——大宮門街や大門町3丁目中地区の再開発に加え、「大宮駅グランドセントラルステーション化構想(GCS構想)」について、東口全体の大規模整備が街の姿をどう変えるとお考えでしょうか。

堀内さん:「大宮」駅とその周辺の課題として、公共交通の乗換利便性が低いことや憩いの空間が少ないこと、道路が慢性的に混雑していることなどが挙げられます。朝夕の通勤・通学ラッシュ時、JRと東武鉄道との乗換経路は非常に混雑し、バス停のある駅前の歩道上にはバス待ちの行列ができています。鉄道相互、鉄道とバスの乗換距離が長く、乗り換えにも時間がかかります。駅周辺に歩行者が集中する状況において、歩行者の車道へのはみ出しや乱横断が日常的に発生し、東口の駅前広場につながる横断歩道では多くの車と歩行者が錯綜しています。

GCS構想においても、「大宮の弱み」として挙げられている(引用:「大宮駅 グランドセントラル ステーション化構想 概要版」より)
GCS構想においても、「大宮の弱み」として挙げられている(引用:「大宮駅 グランドセントラル ステーション化構想 概要版」より)

堀内さん:現在の東口駅前には、大宮ならではの多様性のある界隈が形成されていますが、その一方で建物の老朽化が進んでいます。夜間、多くの飲食店に大勢の来街者がいることを考えると、安全安心な市街地に更新していくことは喫緊の課題です。このように「大宮」駅周辺はさまざまな課題を抱えていることから、さいたま市では駅周辺街区のまちづくり、交通基盤整備そして駅機能高度化を三位一体で行う「GCS構想」を進めています。

GCS構想取組内容の全体イメージ図
GCS構想取組内容の全体イメージ図

堀内さん:さらに、国の「首都圏広域地方計画(H28.3)」という計画の中で、「大宮」は西日本の玄関口となる「品川」と並び、東日本からの多種多様なヒト、モノが実際に集結する最初の対流拠点となる「東日本の玄関口」として位置づけられています。さまざまな課題を解消し、東日本の玄関口にふさわしい、対流拠点としての役割を担う「大宮」にしていきたい。

例えば「GCS構想」の取組の1つとして駅の東西を結ぶ新たな東西軸の整備があります。現在も「大宮」駅には中央通路という東西を結ぶ通路がありますが、これに加えて新たに東西通路を整備することを検討しています。これにより、まちの回遊性・駅周辺の防災性の向上や乗換改善であったり、中央通路と合わせた西口デッキネットワークとの接続や新たな西口の顔づくり、歩行者の滞留空間確保を目指します。

「大宮」駅東西を結ぶ新たな東西軸の整備方針(引用:「大宮駅 グランドセントラル ステーション化構想 概要版」より)
「大宮」駅東西を結ぶ新たな東西軸の整備方針(引用:「大宮駅 グランドセントラル ステーション化構想 概要版」より)

——旧大宮区役所跡地や旧大宮図書館跡地の活用など、公共施設の再編成が住民、特に子育て世帯にどのような利便性や安心感をもたらすとお考えですか。

大石さん:「駅前賑わい拠点」では、賑わい機能と学び・交流の機能を導入予定です。建物が密集していることが大宮の課題の一つであるため、まちづくりのコンセプトに「ひろば」を掲げています。

ゾーニングのイメージとしては、大宮中央通り沿いに広場、氷川緑道西通線沿いに商業施設・オフィス・住宅、氷川参道沿いに賑わい機能を配置し、それらをつなぐ中央部分に学び・交流の機能を配置する想定です。その中で、ひろばやカフェ等の休憩できるスペースを充実していきたいと考えておりますので、子育て世帯にとって便利な場所になることを願っています。

現在計画されている「駅前賑わい拠点」のゾーニング(引用:「大宮駅東口周辺 公共施設再編 駅前賑わい拠点 実施方針」より)
現在計画されている「駅前賑わい拠点」のゾーニング(引用:「大宮駅東口周辺 公共施設再編 駅前賑わい拠点 実施方針」より)

大石さん:また、先ほどご説明した旧大宮図書館跡地の「Bibli(ビブリ)」は、さいたま市初の公共施設イノベーションとして民間事業者に貸出して活用していただいており、「Bibli(ビブリ)」という名の複合施設になりました。プロサッカーチーム「RB大宮アルディージャ」のアンテナショップなど、大宮ブランドを発信する物販や飲食の店が入っています。古本の即売会など子育て世代が楽しめるイベントが行われるなど、市民に開かれた施設となっています。

複合施設「Bibli(ビブリ)」
複合施設「Bibli(ビブリ)」

——歩行者デッキ整備や防災機能強化など、日常生活や子育て世帯の安心につながる取り組みについて、具体的にお聞かせください。

堀内さん:東口の整備においては歩行者ネットワークのあり方が重視されていて、現在盛んに議論しているところです。「GCS構想」では交通広場の再整備を行うこととしており、バリアフリー化の図られた利便性の高い乗換動線の確保など、だれもが快適に利用しやすい空間とするため、現在検討を行っています。

地下空間も含め、縦のつながり強化が計画されている(引用:「大宮駅 グランドセントラル ステーション化構想 概要版」より)
地下空間も含め、縦のつながり強化が計画されている(引用:「大宮駅 グランドセントラル ステーション化構想 概要版」より)

堀内さん:防災機能については、大規模災害に備え、強い耐震性を備えた建物への更新や非常用電源等の設備の導入であったり、備蓄倉庫の確保といった防災対応機能の強化なども今後検討していく必要があると考えています。

住み続けたくなる快適な街へ、変化を続ける大宮エリア

——再開発や公共施設の整備によって、ファミリー層の日常生活(買い物・通学・遊び場・地域交流など)にどのようなメリットが期待できるでしょうか。

大石さん:先ほどご説明させていただいた「駅前賑わい拠点」には学びや交流の機能が入り、広場も設ける計画です。整備されれば、「Bibli(ビブリ)」のように、このエリアに暮らすみなさんの利便性、楽しさや安心感の向上に寄与することと思います。

再編成により、すでに生まれている賑わいや交流もたくさんあります。大宮区役所の「氷川の杜ひろば」という共用スペースは、市民の憩いの場になっており、平日・休日関わらずたくさんの人が集まります。きれいで居心地の良い図書館も併設されているので、学生たちに人気の勉強場所にもなっており、夏休みには外に入場待ちの長い行列ができていて、ビックリしました。

「氷川の杜ひろば」(引用:大宮図書館HP)
「氷川の杜ひろば」(引用:大宮図書館HP)

大石さん:RaiBoC Hall(レイボックホール)(市民会館おおみや)」にあるホールや集会室も非常に好評で、連日高い稼働率で市民の皆様によくご活用いただいています。

——「大宮」駅東口全体として、今後のまちづくりをどのように進めていきたいと考えていらっしゃいますか。ファミリー層を含む多様な住民が暮らしやすい街に向けた展望をお聞かせください。

堀内さん:GCS構想は、地元住民、さいたま市、交通事業者が連携して進めていく事業です。関係者も多く、建物が建ち並ぶ駅前の既成市街地での事業は困難を極めますが、関係者・関係機関との協議を進め、一日も早い事業実現に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。

「交流広場」のイメージ(引用:「大宮 GCSプラン 2020」より)
「交流広場」のイメージ(引用:「大宮 GCSプラン 2020」より)

——最後に、「大宮」駅東口エリアに住むことを検討しているファミリー層へ向けて、街の将来性や暮らしやすさについてメッセージをお願いします。

堀内さん:大宮のまちづくりは大規模かつ長期間に及ぶもので、大宮は今後も少しずつ変わり続けていくと思います。課題を解決して住み続けたくなる快適な街へと徐々に変わっていく、その変化を楽しんでもらえたらと思います。

大石さん:大宮という地名は氷川神社が「大いなる宮居」と呼ばれたことに由来するそうです。全国の氷川神社の総本山である「武蔵一宮 氷川神社」は、とても厳かな雰囲気があり、2キロメートルにわたって延びる氷川参道も緑豊かで非常に心地よい空間となっています。11月には氷川参道沿いに「氷川町家」という飲食店と店舗併用住宅の複合施設もオープンするので、今後どんどん「大宮」駅東口エリアにまちの賑わいが広がっていくと思っています。

美しいケヤキ並木が続く「氷川参道」
美しいケヤキ並木が続く「氷川参道」

「さいたま市都市局都心整備部」の大石敬太さんと堀内彩さん
「さいたま市都市局都心整備部」の大石敬太さんと堀内彩さん

さいたま市 都市局 都心整備部

東日本交流拠点整備課 基盤整備推進係 主査 堀内彩さん
大宮駅東口まちづくり事務所 主任 大石敬太さん
所在地:さいたま市大宮区吉敷町1-124-1 大宮区役所6階
電話番号:048-646-3289
FAX番号:048-646-3292
URL:https://www.city.saitama.lg.jp/006/015/049/003/p000628.html
※この情報は2025(令和7)年10月時点のものです。