2018（令和元）年にオープンした「ecoma coffee」 （徒歩1分／約70m）。ふらりと立ち寄りたくなる明るい雰囲気と、そこで味わう至福のコーヒーを求めて足繁く通う常連客が多い。東京・足立区出身のオーナー吉岡さんが、なぜ草加市でカフェをオープンしたのか。その経緯やお店のコンセプト、この先の展望についてなど、お話を伺った。

人と人との繋がりで、縁が生まれた草加市

――まずは、「ecoma coffee」のコンセプトから聞かせてください。

吉岡さん：コンセプトは“人と人との繋がりを生むコーヒーショップ”です。

この店を出す前、当時浅煎りが主流となっていたアメリカのポートランドにあるカフェを訪ねたいと思い、留学をしていました。ポートランドではチェーンよりも個人店の存在感が大きく、地域と人々の暮らしに根ざしているように感じられたのです。

その体験が、「人と街に必要とされ、コミュニティの場を提供したい」という店のコンセプトにつながっています。

――「そうかリノベーションまちづくり」の「リノベーションスクール」に参加したことが、草加市で出店されることにつながったそうですね。

吉岡さん：当初はコーヒー豆の販売をメインとしており、店舗は持たず営業していました。

そんな中卸先を探していたときに、草加市でカフェを経営されている方と知り合い、そこで「リノベーションスクール」の存在を知ったのです。

吉岡さん：「リノベーションスクール」というのは公共空間、遊休不動産、ビジネスプランを題材として、地域経営課題を解決する事業計画を3日間かけて作成。そして最終日には、地域の方や不動産オーナーに事業化を前提としたプレゼンテーションを行う草加市の施策です。

6人前後でグループを組むのですが、当時のグループには実際に経営できるのが私しかおらず、それで草加市で「ecoma coffee」をオープンしたのです。

――「ecoma coffee」のおすすめのメニューを教えてください。

吉岡さん：常連さんがよく注文されるのは、日替わりの「本日のコーヒー」です。妻が焼き、いろいろな種類のあるクッキーも人気ですし、また、ホットサンドなどもありますので小腹が空いたときなどにはこちらもおすすめです。

街が繋がって線から面となる、新旧の文化・歴史の交差点

――2018（令和元）年のオープンから街や人々の変化について、感じることはありますか？

吉岡さん：「リノベーションスクール」の受講者による出店も含め、年々周辺のお店の数が増えています。これは1つの考え方ですが、例えば何もない通りの端と端にお店ができたとします。これだけではまだ“点”ですが、その数が増えていけば“線”となり、それが周辺に広がって“面”になります。点が増えている草加市は、現在線と面になっていく過渡期だと感じます。

吉岡さん：生活様式の変化については、コロナ禍を機に大きく変わりました。草加市は都内へのアクセスがよいため、仕事でも買い物でも市外へ出られる方が多かったのですが、コロナ禍により地元で過ごされる方が増えました。それでお店に来てくれるようになった方も多く、現在は大半が地元の方です。中には1日に何度も来られる方もいらっしゃいます。

――「ecoma coffee」の周辺で、魅力的に感じるポイントや、おすすめのスポットはありますか？

吉岡さん：目の前の通りは旧日光街道で、江戸時代は大名行列が通ったそうです。歩行者天国になる祭りもあり、新旧入り交じるところが魅力の通りです。

吉岡さん：また、この旧日光街道を北に進んでいくと、綾瀬川沿いに松並木がつづいています。これは国指定名勝「おくのほそ道の風景地草加松原」で、休日になると、旧道散策を楽しまれる方の姿も見られます。のどかな景色と、歴史を感じるおすすめの場所です。

魅力の多いこの街で、新しい街の風景に

――今後、この街で挑戦しようと考えていることがあれば聞かせてください。

吉岡さん：地域を大切にしたいという気持ちがありますので、街の反対側や隣駅など、近くでの出店を考えています。美味しいコーヒーを提供していくことで、コミュニティをつくっていければと思います。

――最後に、この周辺エリアに住むことを検討されている方にメッセージをお願いします。

吉岡さん：草加市は大きなショッピングセンターがある越谷市が近く、電車に乗ればすぐ都内に行くことができます。

吉岡さん：市域はそこまで広くないものの、例えば「草加」駅を中心とすると、駅から歩いていける範囲に魅力的なお店が多く、自ずと行きつけが増えるように思います。魅力的で、何度も訪ねたくなるお店が多く、また規模の大きな祭りも毎年開催されますので、住んでみると楽しく、ここで過ごす時間がきっといい時間になるのではないかと思います。