蕨市中央に暮らすWARABI CHUO areaguide

子育て環境、住み心地の良い住環境、特産のわらびりんご、蕨市の魅力をお届けする蕨市役所シティプロモーション担当インタビュー

埼玉県さいたま市、川口市、戸田市に挟まれた蕨市は、「日本一面積の小さな市」として知られている首都圏からも近い埼玉県南部の市。時々クイズのネタにされるほどの難読地名の市ですが、「わらび駅」や「わらび市」と聞けば、耳馴染みのある人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、蕨市の知られざる暮らしの魅力について、市の政策課でシティプロモーション等に関わっている石黒沙織さんと藤田睦子さん、秘書広報課で広報紙制作などをしている佐藤貴一さんにお話をうかがいました。

インタビューを行ったのは、2023(令和5)年秋に完成したばかりの蕨市役所の新庁舎。広い駐車場を備えた庁舎は災害時の防災拠点機能も備えている、とてもきれいで広い庁舎でした。さっそく、お話を聞いてみましょう。

石黒さん、佐藤さん、藤田さん
石黒さん、佐藤さん、藤田さん

日本一のコンパクトシティ

――まずは、蕨市の概要についてお聞かせください。

藤田さん 蕨市は埼玉県の南部に位置する市で、戸田市、川口市がとても近く、市内のどこからでも自転車で簡単に行けるような近さで隣接しています。東京からも20キロ圏内に位置していて、首都圏への交通利便性も高い市となっています。

大きな特徴としては、「日本一小さな市」でして、市域面積はわずか5.11平方キロメートルしかありません。かつ、人口が7万5千人ほどですので、人口密度も「全国の市町村ナンバーワン」となっています。

市の中心となっている「蕨」駅は市内唯一の鉄道駅になりますが、東に行けば「西川口」駅、西に行けば「北戸田」駅、南に行けば「戸田」駅と「戸田公園」駅もご利用いただけますので、いろいろな路線が使いやすい場所にあるかと思います。また、車利用に関しても国道17号線が通っていますし、主要な地方道も通っていますので、都心方面にもさいたま市方面にも行きやすいかと思います。

藤田さん
藤田さん

街の特徴としましては、とてもコンパクトな市ですので、市内の主要な場所、たとえば公民館、病院、スーパーマーケットなどが狭い範囲に集まっていて動きやすい、そんな利便性もある街かと思います。

「中山道」沿いの宿場町として栄えた蕨市

――蕨市の自然、文化、イベントなど、街の魅力を教えてください。

藤田さん まず、蕨市には江戸時代に整備された五街道のひとつ「中山道」(なかせんどう)が通っており、街道沿いにあった「蕨宿」が栄えた歴史から、現在の蕨市の基盤となっています。明治時代になって鉄道が開通すると、「蕨」駅から中山道にかけて新しい商店街ができて、それらを軸に市が発展してきました。

こういった宿場町として栄えた蕨市を、現代に伝えるものとして行っているのが、毎年11月に開催される「中山道武州蕨宿宿場まつり」です。たくさんの人でにぎわう、伝統的なお祭りとなっています。

また、江戸時代末期から塚越村(現在の「蕨」駅東口地区)を中心に機織り業が盛んになり、二本の糸を絡ませて作る「双子織」(ふたこおり)が評判になりました。この「双子織」の産業の発展を現代に伝えるものとして、毎年夏に「機(はた)まつり」が開催されています。

こちらも蕨市だけではなく近隣市からも多くの方が訪れる、とても大きなお祭りです。例年、8月初旬に4日間開催され、2023(令和5)年は延べ24万人の来場者があったということですので、市の人口の3倍以上の方が来場されるお祭りということになります。

機まつり
機まつり

「成人式」発祥の地

また、蕨市は「成人式発祥の地」でもあります。終戦の翌年、町の青年団が中心となって「青年祭」というものを始めたそうで、その催しの1つとして行われたのが20歳を対象とした「成年式」です。敗戦による虚脱状態に包まれていた青年たちの心に希望の灯がともり、この動きが全国に広がっていきました。そういった歴史から、今でも蕨市では「成人式」ではなく「成年式」として開催しています。

――浮世絵師、河鍋暁斎の美術館があることでも有名ということですね。

藤田さん そうですね、幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の作品を展示する美術館は、蕨市を代表する観光スポットとなっています。

佐藤さん 河鍋暁斎は、外国では葛飾北斎か河鍋暁斎かというくらい評価が高いんです。また、河鍋暁斎の絵をサンドブラストで描いたグラスは、ふるさと納税の返礼品として、とても人気が高い品となっています。

蕨市の特産品「わらびりんご」と「双子織」

――双子織の技術を生かしたいろいろなファッション小物も、お土産や返礼品として人気と聞きました。

藤田さん 蕨市には「蕨ブランド」というものがあります。これは地域産業の振興を図るために作られ、「蕨らしさ」を持っているものを審査して、一定基準を満たしたものを、「蕨ブランド認定品」として皆様にご紹介をしています。その中に、双子織で作ったヘアバンドや日傘といった日常使いの商品だったり、日本一早く実のなるりんご、「わらびりんご」を使ったサイダーやシャーベットなどもあります。贈り物やふるさと納税の返礼品として、たいへん好評をいただいています。

わらびりんごシャーベット
わらびりんごシャーベット

――市内の自然について、見どころがあれば教えてください。

藤田さん 市内には46か所の公園があり、最も大きな「蕨市民公園」は、オープンスペースの広い緑がある開放感あふれる公園になります。春には桜が咲き誇り、バーベキューもできるということで、市民の方に愛されている公園です。この公園は防災機能をもっており、有事の際にも活用できる公園です。

このほか、南町の桜並木は、お花見の時期などはとてもにぎわっております。

佐藤さん また、市内で品種改良されて生まれた「わらびりんご」もぜひ、皆さんに知っていただきたいです。これは「日本で一番早くなるりんご」でして、6月の中旬から下旬には収穫できることが特徴です。「わらびりんご公園」では実際に実がなっている様子も見られます。市役所1階のカフェでは「わらびりんごサイダー」を販売していますので、ぜひお試し下さい。

佐藤さん
佐藤さん

将来的により利便性が増す蕨市

――蕨市の市政や街づくりの面で、特徴的な点があれば教えてください。

藤田さん 市のビジョンとしては、今まさに、今後10年間の総合計画を作っているところなのですが、「安心・にぎわい・未来 みんなで創る みんなにあたたかい みんなのまち蕨」を目指すビジョンとしています。

防災、防犯の意味をこめた「安心」、蕨らしさを生かした、街の活力を感じられる街づくりという意味の「にぎわい」、そして、蕨で暮らす子どもたちの「未来」。その3つを軸に、まちづくりをすすめていきます。

まず、「安心」の部分では、市内の公共施設の耐震化が大きく進んできているところですが、今後は、その一つとして、「蕨市立病院」の建てかえが決定し、近い将来、市民の皆さんが安心して利用できる施設へと生まれ変わります。

「にぎわい」に関しては、現在、「蕨駅西口地区再開発事業」を行っていまして、「蕨」駅前に図書館、行政センターなどをはじめ、市民の皆さんの利便性向上と、街のにぎわいの創出となる新しい拠点づくりを進めています。駅前には今後、公共施設のほかにも商業施設、住宅などが整備され、蕨駅のコンコースからデッキで直結する形になりますので、これは、かなり大きな変化になると思います。

佐藤さん 補足で、先ほど、「蕨」駅西口再開発の話がありましたが、駅前には現時点でも「シティタワー蕨」という大きなビルが建っているんですが、これだけではなく、今後、それと同じくらいの大きさのビルがさらに2棟建つ計画で進んでいて、駅から直結のデッキでつながりますので、蕨市の新たな玄関口になって、今以上に行き交う人々でにぎわう街になっていくと期待しています。こちらは2027(令和9)年に竣工予定となっています。

藤田さん「未来」に関しては、現在、高校卒業までを対象に、こども医療費無料化の拡大など、子育て家庭に対する経済的な支援や、教育環境の整備など、次世代を担う子どものための取組を進めています。またこの他に、蕨市における健康づくりの取組として「第3次健康アップ計画」というものを策定しながら、「スマートウェルネスシティ」の実現を目指してまちづくりを進めています。

蕨市マスコットキャラクター 「エンジェルわらぶー」と「ワラビー」
蕨市マスコットキャラクター 「エンジェルわらぶー」と「ワラビー」

子育て世帯に安心なまちづくり

――子育て支援や保育園、学校、教育環境などに関して、特徴的な点があれば教えてください。

藤田さん 子育て支援に関しては、これは他市でも同様かと思いますが、市内に4つの「地域子育て支援センター」を設置しており、親子の交流の場の提供、子育ての相談、子育てに関する講座やイベントなどを行ってきました。

蕨市ではこれに加えて、2024(令和6)年1月に「多機能型子育て支援センター」ということで、5か所目となる地域子育てセンターの機能にプラスして、一時預かり事業や、通所型で使える産後ケア事業、こども食堂等の居場所づくり事業など、複数の機能を有する支援拠点を開設しました。これは子育て世代の方にとっては、かなり便利な施設になるのかなと思います。

ほかにも、訪問支援員が家庭を訪問して、家庭が抱える不安や悩みを聞いたり、家事や育児の支援を行う「子育て世帯訪問支援事業」や、共働き家庭の子育てを支える「認可保育園」は、市内に15か所設置し、「留守家庭児童指導室」も2024(令和6)年4月に1か所開設し、市内に21か所となる予定です。こういった施設がコンパクトな市域にまとまっていますので、子育て中の市民の方にもご利用いただきやすいのかなと思います。

また、先ほども触れた「こども医療費無料化」の拡大や、「学校体育館へのエアコン整備」なども、蕨市は県内で進んでいるほうですし、ICT教育ももちろん積極的に進めています。また、学校給食費の負担軽減事業の拡大や、水泳指導の民間委託など、他市に先駆けて進めている事業もたくさんあります。これもやはり、小さな市ならではの強みだと思います。

佐藤さん 体育館のエアコン整備に関して補足しますと、全国的には体育館のエアコン設置率は、十数%ほどというデータがあるんです。それが、蕨市では来年度までに設置率100%になるということで、これは全国的にもかなり早いペースで整備が進められているのかなと思います。

蕨市役所庁舎
蕨市役所庁舎

――市の政策に関して、市民の方からの実際の声や、期待されていることなどがあればお聞かせください。

藤田さん 蕨市では毎年「市民意識調査」というものを行っていまして、その中で、市民の方がこれからの市政に対して何を重視しているかと聞いた項目があるのですが、今年度の結果は1位が「防犯対策」、2位が「防災対策」、3位が「消防・救急対策」だったんですね。蕨市民はたいへん、安心・安全の分野に関心をもっているということが分かりましたので、今後の計画についても、そういった面に特に力を入れて、街づくりを進めていきたいと思っております。

その思いが形になったもののひとつが、この新庁舎です。ここは2023(令和5)年10月に竣工したのですが、免震構造の庁舎で防災拠点も兼ねておりまして、いざという時に、市民の皆さんの避難生活を支えられるようになっています。また、先ほども申し上げた市立病院の建て替えの事業も、「安心」につながるものだと思っています。

石黒さん ハード面だけではなくて、市民の皆さんの力も、「安心」につながっていると思います。蕨市は町会の活動が活発で、町会でも夕方の防犯パトロールなどをやってくださっています。こうした地域での助け合いの形があるということも、安心して生活できるという意味で、魅力なのかなと思います。

石黒さん
石黒さん

――最後に、蕨市内にあるおすすめの場所と、今後蕨市に住みたいという方に向けてのメッセージを、それぞれお聞かせいただければと思います。

藤田さん 私は蕨市に住んでもう20年以上なんですが、とても住みやすい街だと思います。好きな場所は中山道で、歴史を感じられる場所もすごく多いですし、老舗の鰻屋さんや和菓子屋さんがあったり、歴史あるお店がけっこうあって、私はそれが一番のおすすめです。いろんな楽しみがある場所なので、皆さんにいろいろ散策してみていただきたいですね。

石黒さん 私は「和樂備(わらび)神社」がおすすめの場所ですね。ここは歴史もある神社で、普段は静かな場所なんですが、初詣となると皆さん和樂備神社に行かれて、行列ができるくらいなんです。地元から愛されている神社で、市役所からも歩いて行ける距離ですので、ぜひ立ち寄ってみてください。

メッセージということでは、先ほどの市民意識調査の中で、市政の「満足度」ということでも統計を取ったところ、高いもののベスト3が「消防・救急体制」、「子育て支援」、「防災対策」だったんですね。そういった評価をいただけていることも、これから引っ越して来られる方に、安心して暮らしていただけるための材料になるのかなと思います。

佐藤さん 私もおすすめはやはり、中山道の蕨宿です。中でも、歴史民俗資料館の分館の建物などは、明治時代の商家の建物と庭がそのまま残されているのでおすすめです。ほかにも、「三学院」というお寺など、中山道沿いにはちょっと歩くだけでもたくさんの、歴史的・文化的なものがありますので、蕨に来られた際にはぜひ、街道沿いを歩いてみてください。

あと個人的なおすすめは「河鍋暁斎記念美術館」ですね。海外からのお客さんも多い美術館ですので、多くの方に知っていただけたらと思っています。

総務部政策企画室主査 石黒沙織さん、秘書広報課広報広聴係 佐藤貴一さん、総務部政策課主事補 藤田睦子さん
総務部政策企画室主査 石黒沙織さん、秘書広報課広報広聴係 佐藤貴一さん、総務部政策課主事補 藤田睦子さん

蕨市役所

総務部政策課主査 石黒沙織さん
総務部政策課主事補 藤田睦子さん
秘書広報課広報広聴係長 佐藤貴一さん
所在地:埼玉県蕨市中央5-14-15
電話番号:048-432-3200
URL:https://www.city.warabi.saitama.jp/
※この情報は2024(令和6)年2月時点のものです。

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