1年生から6年生まで、異なる年齢の子どもたちが一緒に活動する川越市「大東西学童保育室」

保育需要の高まりとともに放課後の居場所として重要な役割を担う学童保育室。近年、学童の民営化を進める動きがある一方で、川越市では市内に32ヶ所ある学童保育室を公設公営で運営。さらに高学年になっても利用できるため共働き世帯にとって有難い存在となっている。

今回は「川越市立大東西小学校」の敷地内にある「大東西学童保育室」を訪ね、特色ある取組や普段の子どもたちの様子についてお話を伺った。

「大東西学童保育室」の様子
「大東西学童保育室」の様子

2つの建物を活用して約90名の児童を受け入れる「大東西学童保育室」

――まず大東西学童保育室の概要についてお聞かせいただけますでしょうか?

金賀支援員 「大東西学童保育室」は川越市が運営する公設公営の学童で、「川越市立大東西小学校」の敷地内にあります。平屋の建物と2019(令和元)年度に新設された2階建の建物があり、今年度は3クラスに分かれて約90名の児童が入室しています。

割合としては1、2年生が多いですが、川越市では1年生から6年生まで異なる年齢の子どもたちが一緒に活動できるよう混合保育を基本としています。そのため学年ごとにクラスを分けるのではなく、それぞれのクラスに低学年から高学年まで一緒になって生活しているのが特徴です。

「大東西学童保育室」では、2つの建物を利用している
「大東西学童保育室」では、2つの建物を利用している

開設時間は、基本的には授業終了後から18時30分まで。夏休みなどの長期休業期間中は朝7時30分から18時30分までお子さんたちをお預かりしています。

――お住まいのエリアによってはご自宅から遠い場合もあると思いますが、送り迎えはみなさんどのようにしていらっしゃいますか?

金賀支援員 現状では7〜8割の方が車でお迎えにいらしていて、あとは自転車ですね。駅付近から歩くと20〜30分ほどかかるため、地域性や保護者のニーズなどにも配慮しながら、小学校と調整したうえで駐車場を利用できるようにしてもらっています。

学童の送り迎えに関して、川越市では子どもだけでの行き帰りを認めておりません。高学年の場合でも必ず保護者の方のお迎えが必要になります。長期休業期間中においても保護者の方と一緒に来て、帰る時も保護者の方にお迎えに来ていただくようお願いしています。

季節感を感じる、あたたかな装飾が目立つ
季節感を感じる、あたたかな装飾が目立つ

目標に掲げた3つの運営案

――大東西学童保育室の特長や、力を入れて取り組んでいることについて教えてください。

金賀支援員 現在、川越市では公設公営の学童保育室を32ヶ所運営しており、施設ごとにそれぞれ運営案として掲げている目標や特色がありますのでご紹介させていただきます。

「大東西学童保育室」では保育の目標が3つありまして、「友達を大切にし思いやりのある心を育てる」、「児童に寄り添った褒める保育を心がける」、「けじめのある生活習慣を身につける」の3本柱で運営しています。

――それぞれ詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

金賀支援員 ひとつ目の「友達を大切にし思いやりのある心を育てる」は、1年生から6年生まで異なる年齢の子どもたちが一緒に生活をする場なので、それを生かせるような保育の仕方を工夫しています。例えば、ひとつのテーブルにいろんな学年の子どもたちを集め、3年生をリーダーとして班をまとめてもらっています。1、2年生にとっては上級生の姿を間近に見ることで成長するきっかけにもなりますし、上級生にとっても下級生と一緒に過ごすなかで思いやりの気持ちが育まれていると思います。

保育室内には、さまざまな本もそろう
保育室内には、さまざまな本もそろう

ふたつ目の「児童に寄り添った褒める保育を心がける」の“褒める”というワードは今年度から入れた文言で、ちょっとしたことでも良い行いをしたら褒めるように心がけています。いろいろな研修を受けるなかで、「子どもたちの自己肯定感をしっかり高めてあげたいね」ということで新たに目標として掲げることにしました。まず私たち支援員が褒めることを習慣づけることによって、それを見ているクラスの子どもたちもおたがい褒め合うような場面が増えるんじゃないかと思っています。

そして3つ目は「けじめのある生活習慣を身につける」です。子どもたちにとって学童は学校の授業を終えてから来る、ホッとひと息つけるような開放感のある場所ではありますが、1クラス30名近くいる集団生活の場でもあるので「今は宿題の時間だよ」とか「これから外遊びに行くから準備をしっかりしましょう」など声かけをしています。けじめが無いと怪我やトラブルにもつながりますし、行動の切り替えをはっきりしていくことがみんなで楽しく生活することにつながるよねということを伝えさせていただいています。

地域の特色を活かしたイベントは子どもたちにも人気

――子どもたちの様子や学童での過ごし方についてお聞かせください。

金賀支援員 子どもたちはとにかく元気です。コロナ禍で設置されたパーテーションもようやく取り払われたので、さまざまな学年の子と多彩な遊びができるようになってきています。

定番ですが屋外では鬼ごっこが人気ですね。みんな校庭で鬼ごっこをするのが大好きで20〜30人もの子どもたちが集まってやっています。鬼を決める時のジャンケンだけでもすごい輪になっていますよ。

手作りの室内遊具での遊びも子どもたちに人気
手作りの室内遊具での遊びも子どもたちに人気

室内遊びは色々とありますが、最近流行っているのはダンボールで作ったエアホッケーです。ダンボールを丸く切り抜いたものを相手のゴールめがけて打ち合います。パックもそれを打ち返すスマッシャーもみんなダンボールで、おやつを注文した時に梱包されている空き箱を使って自分たちで作っています。

――お誕生日会やイベントなどの取組はございますか?

金賀支援員 90名もいるので、お誕生日会は毎月ありますね。クラスごとに毎月少なくとも3〜4名は誕生日を迎える子がいるので、普段のおやつとは違う特別なお菓子を、地域のお店に頼んでみんなでお祝いをします。

誕生日を迎えた子はみんなの前に出てもらってインタビューを受けるのも恒例になりました。3年生の子が司会になって会を盛り上げてくれるのですが、「好きなテレビ番組は何ですか?」とか「好きなおやつは何ですか?」など、そのときどきによって質問の内容はさまざまですが、みんなで楽しい時間を過ごしています。

子どもたちの創意工夫から、楽しい時間が過ごせる
子どもたちの創意工夫から、楽しい時間が過ごせる

評判が良かったイベントは、川越の菓子屋横丁をイメージした模擬店ですね。川越市には蔵造りの町並みや「時の鐘」とならんで有名な、菓子屋横丁と呼ばれる観光名所があり、それをイメージした取組です。紙のお金を使って駄菓子を買うお店やさんごっこを体験できるイベントで、他の学童でも取り組んでいるようですね。

最近では夏休み最後のお楽しみということで8月末に実施しました。1年生にとっては初めての経験で、自分で好きなお菓子を選べるのも楽しみのひとつですが、10円コーナーや20円コーナーなどを立ち寄りながら、自分でいくら使ったか計算しながら買い物するのも楽しかったようです。

囲碁のレクチャーなど、地域との交流を行う

――地域の方との交流や連携して行う取組などあれば教えてください。

金賀支援員 「川越igoまち倶楽部」という地域の団体がありまして、市の協働事業として学童の子どもたちに囲碁を教えてくださるんです。今年の夏休みにも来てくださいましたね。学童には囲碁の他にも将棋やオセロなどボードゲームがありますし、おはじきを使って遊ぶマンカラも人気のある遊びのひとつです。

子どもたちが楽しめる、さまざまな遊具がそろう
子どもたちが楽しめる、さまざまな遊具がそろう

上級生から下級生に伝承される昔あそび

――今後予定している新しい取組などはございますか?

金賀支援員 これもコロナによる影響のひとつだと思いますが、コマとかけん玉といった昔あそびをする機会が減ってしまったので、徐々に再開させていきたいなと考えています。以前はみんなとても上手だったのですが、技や遊び方を教えてくれる上級生がいなくなってしまったので、その流れが途切れてしまったのは惜しいなと感じています。

以前は誕生日会やクリスマス会といったイベントの時に、みんなの前で技を披露するような機会もあったそうです。やはり高学年の子が出来る技はかっこよく、それだけでみんな憧れを抱くんですよね。

あと川越市では読み聞かせに力を入れて取り組んでいまして、支援員も研修を受けながら日々どうしたら子どもたちにとって聴きやすくなるかといったことについて研究しています。

川越市では、読み聞かせの取組にも注力している
川越市では、読み聞かせの取組にも注力している

自然があって公園も多い。生活に便利なお店やスーパーも充実

――次に川越南台エリアの魅力について教えてください。

金賀支援員 川越の中心市街地と比べると、このあたりは自然があって公園も多いので、お子さんのいるご家庭にとって過ごしやすいんじゃないかと思います。学校の近くにも公園がありますし、少し足を伸ばせば「川越水上公園」もあってお出かけにぴったりの場所だと思います。

駅前の便利な立地にある「いなげや 川越南大塚駅前店」
駅前の便利な立地にある「いなげや 川越南大塚駅前店」

「南大塚」駅の周辺には、お店やスーパーなど日々の生活に必要なものはすべて揃うので生活するのに便利だと思います。ほかにもこの地域ならではと言えば、「埼玉川越総合地方卸売市場」があります。買い物のほかに飲食店もあるので便利だなと思います。「卸売市場」には子どもたちも学校の授業で見学にも行っているので身近な場所だと思います。

学校の授業で見学に行くこともある「埼玉川越総合地方卸売市場」
学校の授業で見学に行くこともある「埼玉川越総合地方卸売市場」

また国道16号線沿いに「武蔵野総合病院」もありますし、評判の良いかかりつけのお医者さんも近くにあるので、いざという時に安心です。

――今後、川越南台エリアにお住まいになられる方に向けてメッセージをお願いします。

金賀支援員 自然が豊かなので子育てするにも気持ちのゆとりを持って生活できるんじゃないかなと思います。学童にお子さんを預けている保護者の方も、みなさん雰囲気がおだやかだなという印象があります。学童でこういう遊びが流行っていますとお話しすると、「家でもやってみますね」と学童の活動にもご理解いただいているのを感じます。

 

大東西学童保育室

金賀支援員(学童保育室リーダー)
所在地:埼玉県川越市山城32-5
電話番号:049-246-8780
※この情報は2023(令和5)年9月時点のものです。

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