「草加松原どろんこ保育園」 星園長先生 インタビュー

「にんげん力」を育てる「草加松原どろんこ保育園」の保育とは/草加松原どろんこ保育園 園長 星先生

2015(平成27)年春、「獨協大学前<草加松原>」駅北側の高架下に新設された「草加松原どろんこ保育園」。首都圏に多くの園を展開している「社会福祉法人どろんこ会」の園で、珍しい高架下の“全天候型”スタイルだ。園舎と園庭がひと続きになったレイアウトで、起伏が設けられた園庭の中を、子どもたちは走って跳んで、思いきり楽しんでいる。園庭の隅っこでキャベツをほおばるヤギがいるなど、ユニークな要素が一杯に詰まった保育園である。今回はそんな「草加松原どろんこ保育園」の園長先生に園の概要や街の魅力についてお話しを伺った。

「本物」に触れる保育

自然体験型の保育活動を行う社会福祉法人どろんこ会の保育園
自然体験型の保育活動を行う社会福祉法人どろんこ会の保育園

――園の概要について教えてください

星園長先生:当園は「社会福祉法人どろんこ会」の中のひとつの園で、2015(平成27)年に開園した「認可保育園」になります。「社会福祉法人どろんこ会」では全国に31園(2016年7月現在)を展開していますが、草加市内では初めての園となります。規模としましては、0歳児から5歳児まで、合計90名が定員になっております。

明るく広々とした園内
明るく広々とした園内

保育時間は朝の7時から、夜は20時まで、18時半から19時は草加市の延長保育、19時から20時までは法人としての延長保育を行っています。一時保育も行っています。

――保育ポリシーについて教えてください。

星園長先生:「にんげん力」、つまり「生きる力を育てる」ということを大きな理念にしています。その一つの柱として大切にしているのが、「人対人コミュニケーション」という取り組みです。どろんこ保育園の子どもたちは、いろいろな人とふれあい、会話をし、挨拶を交わしていく中で生きるための力を育んでいきます。

タイヤで遊ぶ園児
タイヤで遊ぶ園児

もう一つの柱が「センス・オブ・ワンダー」というもので、自然の中からいろいろなことを感じ取り、中高生になってからの精神的基盤となる「原体験」を日々の外遊びの中で培っていくという取り組みです。自分でものを作ったり、遊んだり、探したり、育てたりという活動を重視しているのはそのためで、今はスマートフォンなど画面の中だけの、いわゆる「バーチャル体験」ができるようになっていますが、やはり「本物」に触れて、体で感じる、心で感じるということは、子どもたちにとってかけがえのない体験だと考えています。

泥遊びも大切な教育
泥遊びも大切な教育

――各地にある「どろんこ保育園」の中でも、高架下、屋根付き園庭というのは珍しいスタイルかと思います。メリットなどについて教えてください。

星園長先生:高架下にある園というのは珍しいですよね。うちのグループでは2園目でして、じつは千葉県市川市のどろんこ保育園が、高架下にできた最初の園でして、2園目を出したというのは、もちろんそれなりのメリットがあるからなのです。

高架下に位置する園
高架下に位置する園

まず、一番大きなメリットは、「雨の日でも園庭で思いっきり遊べる」ということです。梅雨の時期でも関係なく、朝から夕方までしっかりと遊べます。あと、直射日光が当たらないという点も、熱中症などの心配が少なく、子どもたちも長い時間園庭で遊べるので、すごく良いな、と思っています。駅から近い場所にありながら、広い敷地が取れているのも、高架下ならではのメリットかと思います。それから、来ていただければ分かりますが、電車の騒音というのはほとんど気になりません。

――日々の保育の中で、特徴的な活動などがあれば教えてください。

星園長先生:これはうちの園に限らず、「どろんこ会」全体の取り組みなのですが、「座禅」と「雑巾がけ」は毎日やっています。あとは「生き物の世話」というのもそうですね。園庭で野菜を作ってお世話をしているほか、ヤギの「りぼんちゃん」を飼っていまして、園のマスコットになっています。りぼんちゃんはとっても温厚なヤギなので、みんな大好きで、毎日みんなでえさをあげたりしています。

ヤギのりぼんちゃん
ヤギのりぼんちゃん

それから「食育」にも力を入れており、畑で作った野菜は子どもたちがクッキングに使ったり、給食に使ったりしています。毎日の活動の中にも、給食で使う食材に触ったり、匂いをかいだり、という機会を取り入れています。少しでも、食への関心を高めてもらえれば、と思っています。

給食づくりの様子
給食づくりの様子

イベントや地域交流への取り組み

――楽しいイベントも多いそうですね。どんなものがありますか?

星園長先生:まず、夏祭り的なもので「どろんこまつり」というものがあります。この時には模擬店が出たり、ゲームをやったりするので、保護者の方にもたくさん来ていただいています。同様に「運動会」についても、たくさんの方にご来場いただいています。

「発表会」については特徴があります。他園ですと合奏とかお遊戯とか、かと思いますが、うちでは大部分を「自分が得意なことを披露する」という内容にしています。自分たちが頑張ってきたこと、できるようになったことなどを発表しましょう、という会なのです。小さい子だと、まだ自分で決めるのは難しいので合奏をやりますが、4、5歳児ともなれば自分でやりたいことを決められるので、自分が何を披露したいかということを自分で決めて、その目標に向かって頑張るということをやっています。発表の内容は本当にいろいろあり、跳び箱だったり、縄跳びだったり、漫才だったりします。

かわいらしい装飾
かわいらしい装飾

やはり、「やりなさい」と言われたものではなくて、「自分がやりたい」と思ったものですから、子どもたちはすごく頑張って練習をするんです。それがまた、子どもの成長にもつながると考えています。

――園外に出ていくようなイベントや、地域交流の取り組みがあれば教えてください。

星園長先生:希望者については田植え、キャンプ、稲刈りなどの体験企画も用意しています。ほかにも、日々の保育の中で、地域に出ていく機会はたくさんあるかと思います。

高架下に位置する「草加松原どろんこ保育園」
高架下に位置する「草加松原どろんこ保育園」

たとえば、うちは東武鉄道さまの高架下にある園ですから、東武鉄道さまと一緒になって、ハロウィンの時に駅にお邪魔したりもします。普段から、駅長さまのお話を聞いたり、おまわりさんにお話を聞いたり、ということも行っています。とにかく、「地域に愛される」「地域に守られる」という保育園を目指し、普段の活動でも地域にはどんどん出て行っています。職員も積極的に地域の方と関わったり、挨拶を交わしたりするように、心がけているところです。

ほかには、「商店街ツアー」というものもあり、これは商店街に出かけていって、買い物をさせていただいたり、どんな仕事をしているのかお話を聞いたり、という内容です。子どもたちに、自分の地域に興味を持ってもらいたいという思いから始めたものです。いろんなクラスが順番に行きますからだいたい週に2回ぐらいの頻度で出ているでしょうか。本当に、いろんな地域の方にお世話になっています。

どろんこになって遊ぶ園児たち
どろんこになって遊ぶ園児たち

あと、ちょっと変わっているところでは、火おこしの体験などがありますね。これは近くの「冒険松原あそび場」でやっているものですが、自分たちで起こした火を使って、焼き芋を焼くという体験をしています。なかなか火がつかないとか、煙がたくさん出てくるとか、目にしみるとか。子どもたちも大はしゃぎなんですが、そういうことを体験することで、できあがったものをただ「美味しいね」って食べるのとは、味も全然違ってきます。こういった機会はこれからも増やしていきたいと思います。

――逆に、地域の方が保育園に関わってきてくださったエピソードなどはありますか?

星園長先生:そうですね、一つは、これはうちの職員に、「草加ファミリーブラス」という楽団に入っている職員がいる縁からなのですが、昨年はその楽団のみなさんが園に来てくださって、生演奏をしてくださいました。

当初は「演奏の音が大きくて泣いてしまう子もいるのかな」と心配していましたが、泣く子も騒ぐ子もいなくて、みんな真剣にじいっと聞いていました。演奏が終わると子どもたちは楽団の方に「これは何の楽器?」と聞き、実際に音を出して教えてもらっていましたね。本や映像で見るだけなら、そこまで興味を持たなかったかもしれませんね。とても貴重な体験ができました。

愛着が持てる街、草加

――最後に、地域の魅力をお聞かせください。

星園長先生:まず、公園が多いのは素晴らしいですね。園の近くには「松原団地記念公園」という大きな公園があり、街道沿いの松並木の下にも公園があって、夏になると水遊びもできるので、子どもたちが遊べるところは多いと思います。

「松原団地記念公園」
「松原団地記念公園」

あとは、イベントが多い街ですね。夏には「草加ふささら」というサンバフェスティバルがあり、11月には「街グル」というイベントが、数年前から開かれるようになったようです。ここれは地域で穫れた農産物を売っていたり、手作りのものを販売していたりしますので、そういたイベントに参加する楽しみもありますね。

もちろん、交通もすごく便利になっていて、都心にも簡単に出られます。北に行けば越谷レイクタウンなどもあって、買い物も便利です。松原団地の跡地には新しいマンションが造られて、新しい住民の方も増えてきていますので、これからもっともっと、住みやすい街になっていくのではないでしょうか。

じつは、うちの先生の中にも、草加出身で草加を愛してやまない先生がいるのですが、その先生などは「草加からもう絶対に出ない」って宣言しているんですよ。それぐらい、愛着が持てるような街だということだと思いますし、将来にわたって、もっともっと、住みやすい街に変わっていくのではないでしょうか。

草加松原どろんこ保育園

星園長先生
所在地:埼玉県草加市松原1-5-9(東武スカイツリーライン高架下)
電話番号:048-934-5856
URL:http://www.doronko.biz/nursery/matsubara.php
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。