浦和美園エリアガイドURAWAMISONO areaguide

スペシャルインタビュー

実体験から得られることを大切に子どもの将来を見据えて支援する「子ども発達支援センターつむぎ 浦和美園」

「浦和美園」駅から徒歩13分の場所に、ちょっと目を引く木造2階建ての建物がある。2018(平成30)年4月にオープンした「子ども発達支援センターつむぎ 浦和美園」だ。

今回は施設長の橋本千穂さんに、保育理念や活動内容、浦和美園エリアの魅力についてお話を伺った。

五感をフルに使い、戸外での活動を生きる力に結び付けていく

「子ども発達支援センターつむぎ 浦和美園」建物と畑
「子ども発達支援センターつむぎ 浦和美園」建物と畑

――貴センターの概要、利用方法などについて教えてください。

橋本施設長 「社会福祉法人どろんこ会」が運営する児童発達支援センターで、児童発達支援と放課後等デイサービスを行っています。対象は0歳から小学3年生まで。障がい者手帳や療育手帳がなくても、通所受給者証があればご利用いただけます。保育士をはじめ、言語聴覚士や作業療法士といったスペシャリストによるグループ支援と個別支援を行っています。

まずは見学に来ていただき、支援内容などをご説明した上で、成育歴や気がかりな点などを伺うとともにお子様の様子を確認し、発達状態に合わせたプランを提案しています。

施設長の橋本千穂さん
施設長の橋本千穂さん

児童発達支援の定員は一日40名。現在は、平日午前9時から午後2時まで通所する「マンスリー」に2歳~5歳児のお子様が33名通っていて、個別支援は一日7枠となっています。このセンターだけに通っているお子様もいれば、保育園や幼稚園に通いながら定期的にここを訪れるお子様もいます。放課後等デイサービスは一日10名が上限です。土曜日はグループ支援と個別支援を行っています。現在は15人ほどがグループ支援を受けていて、残る25枠を個別支援に充てています。

広々とした室内
広々とした室内

――「どろんこ」の保育方針について、大切にされていることを教えてください。また、その保育方針がよく表れている活動や施設があれば、教えてください。

橋本施設長 実体験から得られるものを大事にしています。机上での学びと違って、体や心にダイレクトに響くものですね。根底にあるのは「にんげん力。育てます。」というどろんこ会の基本理念で、具体的には、五感をフルに使った戸外での活動を生きる力に結び付けていくことだと考えています。

遊び場のたくさんありそうな園庭
遊び場のたくさんありそうな園庭

活動の特徴は、戸外活動の多さでしょう。子どもは戸外で自然と触れ合って育つべきというのが私たちの思いであり、戸外でできる活動はすべて戸外で行っています。園庭には築山、土管、木登りできる木があり、ヤギがいます。畑も田んぼもあります。ウサギや亀も飼っています。だからみんな、すぐに泥だらけになります(笑)。

施設の開放的な造りも特徴です。子どもたちに集中してもらうため、柵などで視界を遮って外界の刺激を減らす支援施設もありますが、ここでは逆にすべての部屋に大きな窓があります。しかも子どもの目線の高さにあり、自然と視界にいろんなものが入ってくるので、子どもたちにとっては外が気になって仕方がない環境になっています。閉塞的になるのではなく、こうして自由にのびのびと過ごせる場作りも理念に基づいたものですね。

打合せをするスタッフのみなさん
打合せをするスタッフのみなさん

子どもたちが気持ちをさらけ出し、認められて、「好き」を見つける場

――子どもたちと接する上で心がけていることがあれば、教えてください。

橋本施設長 子どもたちの長い人生を見据えて、社会に出る準備を自分でできるように支援するようにしています。例えば、ちょっとの濡れや汚れにも敏感なお子様が、ワーッとなって服を脱いでしまうことがあります。そういうときは「脱ぎたいんだね」と気持ちを受け止めつつ、「外では服を着ていてほしい」としっかり伝えます。子どもたちは一度聞いただけでは受け入れることは難しいこともありますが、スタッフが都度思いを受け止めて繰り返し伝えることで受け入れてくれていると感じています。

遊びに熱中しているお子様
遊びに熱中しているお子様

また、当センターでは、机上の課題のみや絵カードを繰り返し行うなどの支援は行っていません。

成長過程の子どもは、自分の好きなことを通して興味関心を拡げていきます。支援の中で、一緒に好きなこと探しをしたり、好きなことを通して遊びや他者とのやり取りにつなげていったりする支援を大事にしています。今の「できる」「できない」にはこだわらず、実体験を通して培う力を身に付けていってほしいと願っています。

ここに通う2~3年の間、友だちに興味を持てなかったり、発語につながらなかったり、食事に向かえなかったりするかもしれません。でも、ここでいろんな想いを受け止めてもらった経験が、その後「やってみよう」という気持ちにつながるんじゃないかと思うんです。このセンターにいる間は、自分の気持ちをさらけ出し、認められ、褒められ、自分の「好き」を見つけてほしいと思います。

ドラム缶にためた雨水を使う水道
ドラム缶にためた雨水を使う水道

保護者間交流や地域交流に注力し、地域の拠点に

――だれでも自由に利用できるカフェスペース「TSUMUGI CAFE(つむぎカフェ)」も併設しておられますが、こちらを利用される方はどのような方が多いでしょうか。

橋本施設長 この3年間はコロナ禍で、なかなか「誰でもご自由にどうぞ」とはできませんでした。そのため、まだカフェの存在が地域にあまり知られておらず、現状は保護者の方々がお子様を待っている間に利用されることがほとんどです。今は自由に交流できるようになったので、今後は積極的に活動して地域に開かれた場所にしていきたいと思います。

子どもの衣類を勝手に入れ、勝手に持って行ける「勝手かご」が置かれた、カフェ側の出入口
子どもの衣類を勝手に入れ、勝手に持って行ける「勝手かご」が置かれた、カフェ側の出入口

――課外活動やイベントなど、利用者や地域へ向けた活動や交流などがあればご紹介ください。

橋本施設長 利用者向けだと「つむぎdeほっとカフェ」ですね。保護者の方を対象にした保護者間交流の会で、昨年度から毎月開いています。今年度は保護者同士が気軽に交流できる場を多く設け、私たちの活動を地域の人々に公開するようなイベントにも力を入れていきたいです。

また、地域のお店を見学してさまざまな仕事について学ぶ「商店街ツアー」も行っているので、地域のお店の方々には大変お世話になっています。今年度は、すでに「イオンスタイル」と「シャトレーゼ」に行きました。シャトレーゼでは、調理の様子を見られる窓に多くの子どもたちが張り付いていました(笑)。

当センターに通っている子どもたちはこの地域で育っていくので、こうした交流を通じて地域になじみ、受け入れてもらいたいと思っています。戸外活動の一環として近隣の公園に散歩することもあるので、地域の子たちとの交流につながるといいなと思っています。

園庭に面した広い縁側
園庭に面した広い縁側

4月の最終週には、近隣の保育園や小学校の先生に向けた施設見学会を開きました。このセンターでは保育所等訪問支援事業もやっています。私たち支援員が保育園や学校を訪問し、お子様が所属する集団の中で支援を行う事業です。一週間で40人ほどの方が足を運んでくださりました。この見学会をきっかけに、5月には近くの保育園の年長児20人以上が遊びに来てくれました。同じ地域に暮らしているので、センターを利用している子どもたちと小学校や中学校で一緒になることがあるかもしれません。少しでも互いの存在を意識できたことは大きいと思います。今後も引き続き連携を強化していきたいです。

子どもからもスタッフからも愛される、ヤギのナナちゃん
子どもからもスタッフからも愛される、ヤギのナナちゃん

子どもが多く、子育て世帯にとって便利で暮らしやすい浦和美園

――「浦和美園」エリアはどんな地域でしょうか。周辺で子育てをする魅力をお聞かせください。

橋本施設長 浦和美園は、開発によって新しく生まれた街。だから昔ながらの商店街はありませんが、代わりに便利なショッピングモールがあります。子どもの数が多い地域で、近くにある2つの小学校は1年生が7~8クラスあるそうです。だから、「イオンモール浦和美園」をはじめ、「西松屋」や「しまむら」など子育て世帯にうれしい商業施設がいっぱいあります。「UNICUS(ウニクス) 浦和美園」にもスーパーマーケットや100円ショップ、書店などが入っていて使い勝手がいいですよね。実際にこの辺りで子育てをしているスタッフに話を聞くと、必要なものがすぐ手に入って便利という声が多かったです。都内にも出やすい場所なので、働きながら子育てする人にも良い環境でしょう。

埼玉スタジアム2002」があるので、サッカー好きの人にもおすすめの街です。試合がある日はすごいですよ。駅も道路も赤い集団であふれ、街の景色が一変します。保護者の中にもファンの方がいらっしゃいますね。また、すぐ横にある広大な土地には順天堂の大学、大学院、病院の建設が始まる予定なので、完成したら街の雰囲気もまた変わるのかなと思います。

施設長 橋本千穂さん
施設長 橋本千穂さん

社会福祉法人どろんこ会
子ども発達支援センターつむぎ 浦和美園

施設長 橋本 千穂さん
所在地:埼玉県さいたま市緑区美園3-3-4
電話番号:048-767-4602
URL:https://www.doronko.jp/facilities/tsumugi-urawamisono/
※この情報は2023(令和5)年6月時点のものです。

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