スペシャルインタビュー

「ともに伸びよう」を合言葉に地域や保護者ともつながる「さいたま市立針ヶ谷小学校」

1959(昭和34)年の開校より地域に根差した学校として歩んで来た「さいたま市立針ヶ谷小学校」。住宅地に囲まれた立地にあり、校内には四季折々の草花や木々が植えられ豊かな自然環境に恵まれています。2021(令和3)年度からは校舎の全面改修も進められ、安心・安全はもとより快適に過ごせる学校生活に期待が高まります。

今回は2020(令和2)年度に着任した鈴木康弘校長先生を訪ね、「さいたま市立針ヶ谷小学校」の概要や地域とのつながりについてお話を伺いました。

「さいたま市立針ヶ谷小学校」校門
「さいたま市立針ヶ谷小学校」校門

1959(昭和34)年の開校より63年目を迎える

――学校の概要について教えてください。

鈴木校長先生 「さいたま市立針ヶ谷小学校」は、1959(昭和34)年の開校より63年目を迎えます。開校50周年を記念して作成された資料を見ると、当時、学校の周りには畑や雑木林が広がっていて住宅はほとんどありませんでした。

その後、1961(昭和36)年に撮影された航空写真を見ると、学校の周りに団地ができて住宅も多く建てられたのが分かります。

校長室に飾ってあるこの絵は地元の画家の方から寄贈していただいたものですが、学校が建てられた当時の様子が描かれているそうです。木々が生い茂っている光景は現在からは想像もつきませんが、本校の歴史はここから始まりました。

校長室には、針ヶ谷小周辺の風景画が飾られている
校長室には、針ヶ谷小周辺の風景画が飾られている

児童数は2021(令和3)年4月に100名の新入生を迎え、615名の子どもたちがともに学んでいます。

「ともに伸びよう」を合言葉にした教育活動を実践

――教育方針についてもお聞かせください。

鈴木校長先生 本校の教育目標には「豊かな心をもち、たくましく生きる児童を育成する」を掲げ、「ともに伸びよう」を合言葉にして教育活動を実践しています。これは第11代の校長先生が使い始めた言葉だと聞いていますが、子どもたちにとってわかりやすくまた覚えやすい良い言葉だということで、本校の教育の姿勢をあらわす合言葉として20年以上受け継がれています。

本校の特色としては市や県、国からの委嘱を受けてさまざま研究に取り組んでいます。例えば、さいたま市教育委員会から委嘱を受けて、小・中一貫教育の推進モデル校として研究をしたり、特別活動に関する研究をしたりしたこともありました。

校舎の入口には「ともに伸びよう」の看板を掲示
校舎の入口には「ともに伸びよう」の看板を掲示

卒業生と在校生が思いを伝え合う「はばたけ針小っ子集会」

――貴校ならではの特色ある取り組みはありますか?

鈴木校長先生 一般的には「6年生を送る会」とか「6年生に感謝する会」という名前で行っているものですが、本校では「はばたけ針小っ子集会」と呼んで行っています。

もともと本校では1年生から6年生まで一緒に活動する縦割り活動が盛んに行われているのですが、2月に行われる「はばたけ針小っ子集会」に向けて同じグループの1年生から5年生が手分けをして、大きな画用紙に卒業生の似顔絵を描くんです。

しかもその似顔絵を体育館の壁一面に掲示して、その反対側には卒業生みずから書いた「将来の夢」が飾られます。書き初めの時に使う大きな紙に書くのですが、卒業生一人ひとりの似顔絵と夢が並んだその光景は見事です。

今年はコロナ禍の影響で縦割り活動がほとんどできなかったため似顔絵を描くことはできなかったのですが、1年生から5年生までみんなで協力して作成したペンダントにメッセージを添えて、6年生一人ひとりにプレゼントすることができました。

在校生から卒業生へのペンダント
在校生から卒業生へのペンダント

集会では1年生から5年生まで歌や踊りなどそれぞれ出し物が行われるほか、5年生が6年生に思い出や感謝の言葉を伝える場面もあります。「6年生を見習って頑張っていきます」とか「6年生からのバトンを受け継ぎます」と。

また6年生も「『ともに伸びよう』を合言葉に、これからも針ヶ谷小学校のいいところを伸ばしてください」と在校生に向けたメッセージを託し、とても素敵な集会です。これは本校独自の取り組みと言えるのではないでしょうか。

PTAと育成会の共同主催で行われる「ふれあいまつり」

――地域の方と連携して行われている活動などがあればお聞かせください。

鈴木校長先生 PTAと地域の育成会の共同主催で「ふれあいまつり」というイベントが毎年行われています。資料によると1991(平成3)年1月にはじめて「ふれあいまつり」が実施されたようで、現在は11月頃に行われています。このお祭りではいろいろな出し物や出店があり、育成会の方たちによるダブルダッチという2本の縄を使って跳ぶ縄跳びの体験イベントなども行われます。

残念ながら昨年と今年はコロナ禍の影響で実施されませんでしたが、子どもたちは毎年行われるこのお祭りをとても楽しみにしています。

校内の掲示板
校内の掲示板

地域との関係も強く、見守ってもらえる環境

――地域とのつながりもあるようですが、教育環境としての魅力はいかがでしょうか?

鈴木校長先生 2005(平成17)年の航空写真を見ると、学校周辺にあった畑はほとんど無くなって住宅地として整備されてきたことが伺えます。ちょうどその頃に移り住んできた方が今も地域にお住まいになっていて、児童の保護者が本校の卒業生という割合が高いように思います。そのため自分の学校に誇りを持って見守ってくださるしっかりしたご家庭が多いと感じています。

また育成会も地元愛にあふれた行動的な方が多く、学校運営を支えてくれる大応援団になってくださっているので、学校としては大変助かっています。

地域とのつながりがよく分かる例としては、校内で6年生のクラス対抗サッカー大会が行われた時に、地域のサッカー少年団の監督さんとコーチの方が審判に来てくださいました。お話を伺うとみなさん本校の卒業生でした。

また浦和エンゼルスという野球チームがあるのですが、親子2代で同じチームに所属している割合も高いそうです。子どもたちが地域の少年団に所属して活動しているのもそうですし、コロナ前は子ども会の活動や自治会のお祭りも行われていたようで、そういうところでも地域としっかり結びついている学校だなと思います。

校内のいろいろな場所にスローガンが掲示されている
校内のいろいろな場所にスローガンが掲示されている

教育活動におけるICT端末の活用と、国語と算数ふたつの教科にわたる新しい研究

――教科の取り組みで注目すべき点はありますか?

鈴木校長先生 市内の他の学校とも同じ状況かと思いますが、本校でも2020(令和2)年度末に端末が届き、1年生から一人1台のタブレットを使った学習に取り組むようになりました。エバンジェリストと呼ばれる情報教育担当の教員が中心になって、オンライン授業もできるようになりました。

端末の運用については必要に応じて自宅に持って帰ってもらうこともあり、例えば今年度は授業参観が実施できなかったので教員が授業の様子を撮影して、端末を家に持って帰ってもらってご自宅で児童が授業の様子を保護者に説明しながら視聴していただきました。

教育研究の取り組みについては、2年間国語の研究を進めてきましたが、2022(令和4)年度はさいたま市の研究の方針が少し変わりまして、国語と算数の両方にわたって表現力を育成するという研究を進めていく予定です。実は私は算数の指導主事として13〜14年前に本校の算数の研究のお手伝いをさせていただきました。来年度からは、国語を専門とする教頭と一緒に私も校長として新しい研究に取り組む予定です。

学校の敷地内には草花や木々も多く、自然環境に恵まれた場所

――学校内のおすすめのスポットなどはありますか?

鈴木校長先生 学校周辺には大規模公園などは少ないのですが、本校は住宅地にありながら比較的敷地が広くて大きなグラウンドもあるので、土日になると学校に遊びに来る子どもたちがたくさんいますね。

広々とした校庭
広々とした校庭

それと学校の敷地内に運動遊具を設置した公園がありまして、使っているのは主に地域の方なのですが、雑草が生える時期や落ち葉がたまる時期になると地域の方が清掃活動に来てくださって地域の憩いの場になっています。

学校の敷地内には草花や木々がたくさんあって、校庭の東側にあるプラタナスの木は本校のキャラクターにもなっています。また校舎の横に「みどりの風の道」という通りがありまして、季節になると夏みかんやスモモが実をつけます。

プラタナスの木のキャラクター
プラタナスの木のキャラクター

校庭の南側には桜の木もありますし、今いらっしゃる用務員さんは丁寧に手入れをしてくださっていて、正門を入ったところから体育館の奥の方まできれいな紫陽花が植えられています。

また学校の裏には畑もあって、以前は田んぼもあったようですが、住宅地にある学校とは思えないほど自然に恵まれた環境があります。

校舎の全面改修を経て生まれ変わる「針ヶ谷小学校」

――最後に一言メッセージをお願いします。

鈴木校長先生 本校では現在、校舎や体育館、プールの全面改修に向けて大規模な工事が行われています。耐震補強工事はすでに終わっているのですが、本校は県内ではじめて建てられた鉄筋校舎ということもあり、校舎等を新しく改築します。

2021(令和3)年度から工事がスタートしてすでに完成した新しい校舎もありますが、4年間かけて工事が行われます。

また、来年度から校舎の全面改修と同時並行で「領家保育園」と「針ヶ谷保育園」の建て替えに伴う仮園舎の建設が校庭の南側で行われる予定です。それに伴い運動会の開催が来年度は、秋から5月へと時期を変更して開催する予定です。

埼玉県さいたま市浦和区・「さいたま市立針ヶ谷小学校」
埼玉県さいたま市浦和区・「さいたま市立針ヶ谷小学校」

先ほどもお話しましたが、本校の児童の保護者は卒業生である割合が高く、学校運営に対しても理解がありしっかりしたご家庭が多いので、地域の育成会と一緒に学校を支えてくださっています。そういう意味でも本当に良い地域で、これから新しく移り住む方にとってもとても住みやすい良い地域だと思います。

埼玉県さいたま市浦和区・「さいたま市立針ヶ谷小学校」校長 鈴木 康弘先生
埼玉県さいたま市浦和区・「さいたま市立針ヶ谷小学校」校長 鈴木 康弘先生

さいたま市立針ヶ谷小学校

鈴木 康弘 校長先生
所在地:埼玉県さいたま市浦和区領家7-2-1
電話番号:048-831-9040
URL:https://harigaya-e.saitama-city.ed.jp/
※この情報は2022(令和4)年3月時点のものです。